2020年01月30日

ユニゾHDはどうなる???

ユニゾHDをめぐる動きがまた変化しつつあります。当初、エイチ・アイ・エスが1株当たり3,100円でユニゾHDに対して敵対的TOBを実施しました。それに対してユニゾHDは反対の意見を表明し、ホワイトナイトとしてフォートレスが登場しました。TOB価格は4,000円でした(4,100円に引き上げ)。エイチ・アイ・エスはその後TOBを断念したものの、市場株価はTOB価格を上回っており、ユニゾHDはフォートレスに対してTOB価格の引き上げなどを要請しました。また、従業員の処遇などに関してあらためて慎重に検討する必要があるなどとして、ユニゾHDはフォートレスへの賛同表明を撤回しました。

この間、エリオットやいちごアセットがユニゾ株式を取得し、大量保有報告書・変更報告書を提出しました。そしてブラックストーンが1株当たり5,000円でTOBをしたいという提案をしました。ユニゾHDの賛同が条件です。

結果、ユニゾは米投資ファンドのローンスターと組みEBOをすると公表しました。TOB価格は5,100円です。しかしここでブラックストーンがTOB価格を5,600円に引き上げる提案をしました。ユニゾHDの賛同が条件です。

で、これでは終わらず、今回、フォートレスがTOB価格を5,200円に引き上げました。ブラックストーンの提案はユニゾHDの賛同を条件しているのに対して、フォートレスはすでにTOBを実施していますので、敵対的TOBになったと言ってよいのではないかと思われます。※一連の流れは以下のロイターのニュースにまとめてあります。

https://jp.reuters.com/article/unizo-fortress-tob-idJPKBN1ZS0W4

さてこのユニゾHDを巡る動きですが、誰のTOBが成功するでしょうか?ポイントはユニゾHDの株主構成にあります。

外部から見たユニゾHDの安定株主比率ですが、法人株主31.58%-エイチ・アイ・エス4.52%=27.06%です(興銀リース㈱が所有者別状況の金融機関に含まれるのなら、27.06%+2.58%=29.64%が外部から見た安定株主比率です)。ユニゾHDはもともと興銀系の不動産会社ですが、上位にみずほ系の金融機関が興銀リースくらいしかいませんね。上位10位には入っていませんが、たぶんみずほ系の会社が株を持っているでしょう。おそらく実際の安定株主比率は30%を超えているでしょうね。

さて、ではユニゾHDに対する各社のTOB条件を比較してみましょう。

現在最も高いTOB価格を提示しているのはブラックストーンです。しかしブラックストーンは実際にTOBを実施している訳ではなく対象者と合意の上で取引を実行することは、全ての当事者にとって最適であると同時に、ブラックストーンの投資方針の核となる重要な要素であるため、ブラックストーンは、対象者の合意を本公開買付けの条件としております。」としています。ユニゾHDの合意がなければTOBを実施しないのでしょう。ブラックストーンは敵対的TOBは避けたいと考えているのかもしれませんね。

https://www.unizo-hd.co.jp/news/file/20200128.pdf

ということは従業員+ローンスターとフォートレスの一騎打ちということになるかもしれません。TOB価格はフォートレスのほうが100円高いです。その他の条件は一緒ですね。ではどちらのTOBが成功するでしょうか?

どっちも成功しないのではないでしょうか?先ほど申し上げた通り、ユニゾHDには30%程度の安定株主が存在すると思われます。安定株主は当然、フォートレスのTOBには応募しないでしょう。となると、フォートレスのTOB成立要件には下限が付されています。66.67%の応募がないと不成立なのです。逆に言えば、33.33%の株主が応募しない状況だと不成立です。安定株主が30%程度いるということは、フォートレスのTOBは成立する可能性が極めて低くなります。

では従業員+ローンスターは?安定株主30%程度が応募してくれるかもしれませんが、フォートレスのTOB価格よりも100円安いTOBに安定株主以外の一般株主は応募しないでしょうね。ということで、現状ではどちらのTOBも成立しない可能性があります。

もしかしてこれが狙いだとすると・・・???ま、そんな訳ないですね。

 

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