2020年02月21日

敵対的TOBを仕掛けられたときの対抗策とは?

実はそんなにありません。ざっと列挙します。

・第三者割当増資:発行差止請求の可能性が高く、敵対的TOB実施後はほぼムリ。

・安定株主や取引先への株式買い増し要請:株価が高くなっている状況で買ってくれるかどうか。またインサイダー取引なってしまうリスクもあり。

・企業価値向上策の公表:中期経営計画を公表し好感されれば株価がTOB価格を上回ることも。ただ「絵に描いた餅でしょ?」と言われる可能性も。

・ホワイトナイトへのカウンターTOB依頼:よくある対抗策。

・MBO:買収者がファンドのときは有効かも。事業会社が買収者の時は対抗しきれないかも。

・大幅増配:大幅増配の公表で株価がTOB価格を上回ればOK。ただ、買収者が事業会社のときは配当の効果がなくなり株価が下がったらまたTOBを仕掛けられる可能性が高い。

・自己株取得:市場から浮動株を吸い上げる。ただ、株価が高い時に自社株買いを行う理屈がたつかどうか。

・焦土化作戦、クラウンジュエル:魅力的な資産や会社を売却。TOBは成立してしまうかも。善管注意義務違反に問われるリスクも。

・株式分割:撤回事由や買付条件の変更事由になると思われ、TOBを撤回して再度実施されたり、TOB価格を引き下げたりする可能性あり。

・パックマンディフェンス:買収者の総議決権の25%を取得してしまう。買付者の株式を取得する合理的な理由をどう説明するか。

ざっとこんな感じです。他にも細かい作戦はたくさんあります。ただ、けっこう現実的には難しい作戦ばかりです。それに敵対的TOBを仕掛けられると、あまりにも時間がありません。前田道路だって、時間があればもっと有効な作戦をたてることができたかもしれませんし、もっと多くのホワイトナイトを探すこともできたかもしれません。ホワイトナイトももっと時間があれば、ちゃんと検討できたかもしれません。

だから突然有事にならないよう、時間と情報を確保するための事前警告型買収防衛策が最も有効な施策です。事前警告型買収防衛策は買収提案の実現を阻害するための策などではなく、株主をはじめとしたステークホルダーが買収提案に応じるべきかどうかを検討するための情報と時間を確保するための策なのです。

 

 

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