2023年03月01日

TOBの対象拡大、市場買い付けにも義務化

以下、日経の速報です。

TOBの対象拡大、市場買い付けにも義務化 金融庁検討

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28DFI0Y3A220C2000000/

今は市場外で所有割合が3分の1を超える買い付けを行う場合、公開買い付けをしなければならない。投資家への情報開示が義務付けられ、期間や条件を設定し、一般株主に不公平が出ないよう制限も加えられている。

今回の見直しでは市場の内外を問わず、3分の1を超える場合はTOBを義務付けることを検討する。会社法は3分の1以上の株主に株主総会の特別決議の拒否権を与えており、会社経営に影響力を行使でき、会社も無視できなくなる。

過去には、経営側や一般の株主が気づかないままに、買収側の保有比率が一気に高まったケースがあった。少数株主保護の観点からも、問題になっていた。

金融庁は非公式の勉強会を通じて、有識者の意見を集めている。市場内取引も一定の条件に抵触すればTOBを義務付ける必要があるとの意見が出ていた。

とりあえずの感想ですが、これによって旧村上ファンドなどのアクティビストの活動が沈静化すると期待しないほうがよいです。上記のように仮に市場内外を問わず、3分の1を超える場合はTOBを義務付ける場合であっても、3分の1まではTOBをせずに買ってよいということです。

3分の1ってかなりの影響力ですよ。だって旧村上ファンドに20%程度の株式しか持たれなくても、会社は大変なことになるし、最終的には自己株TOBで買い取っているのですから。市場内取引であっても3分の1を超える取得はTOBが必要となったとしても、企業防衛上はあまり意味がないです。

それに今後はウルフパックも増えるでしょう。ますます制度が形骸化するだけのように思います。

ただ、このような改正が行われることでまた1つ進むことがあります。日本の上場会社が「TOB規制が強化されたんだってね?じゃあもう事前警告型買収防衛策は必要ないね!」と誤解して、買収防衛策を廃止する会社がますます増えるということです。

日本の上場会社の皆さん。TOBルールが改正されても、貴社の防衛体制が強化されるわけではないのです。貴社を守るのは貴社にしかできません。だから今一度、事前警告型買収防衛策について検討してみてください。

 

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