2020年03月13日

ISSの軸がよくわからない

あくまで個人的立場として、仕事を離れた立場として申し上げると、東芝機械にはぜひ勝ってもらいたいと思っています。個人的には、です。なぜなら東芝機械の経営陣がこのようなことを保身でやっているはずがなく、一般株主、従業員、取引先、地域社会のためにやっているからです。よく東芝機械の経営陣が対抗措置発動をすることに対して「今の地位にしがみつくための保身だ」とおっしゃる方がいますが、そんな訳ありません。

東芝機械の経営陣が今の地位にしがみつきたいのであれば、別の方法をもっと早くからやっていたはずです。単純に村上さんたちの株式取得が判明した時点から、持ち合いをやっていればよかったのです。ではなぜ東芝機械の経営陣は持ち合いをやって安定株主対策をしなかったのでしょうか?

世間から「東芝機械の経営陣は保身のために持ち合いをやっている」と後ろ指をさされたくなかったのでしょう。保身と言われたくないし、保身なんてしたくもなかったのでしょう。だから今回、おそらくアドバイザーのアドバイスをもとにこのような対抗措置発動という行動に出たのでしょう。それは理解できます。ただ、ちょっと大掛かり過ぎだとは思いますが。

個人的には東芝機械には買ってほしいと思う反面、私の今の立場からすると今回のISSの賛成推奨は解せません。ISSはどうも部分的な買付けであることと詳細な経営計画が示されていないことを問題視しているようですが、だからと言って対抗措置を発動してよいのかどうか疑問です。村上さんたちはツイッターで「東芝機械は後出し買収防衛策の議案を「当社の経営改革プランを信任して頂くかどうかの議案」にすりかえて説明していますが、これは全く違います。東芝機械は過去10年間目標値を一度も達成できていませんが、私達は、今度こそ東芝機械が目標値「2023年度ROE8.5%」を実現させることを強く願っています!」と言っています。なんだか前半部分と後半部分のつながりがよくわかりませんが、本来は「東芝機械は後出し買収防衛策の議案を「当社の経営改革プランを信任して頂くかどうかの議案」にすりかえて説明していますが、これは全く違います。東芝機械の経営陣が、株主が3,456円で売却できる機会を奪ってよいのかどうか、特定の株主を追い出すようなことをしてよいのかどうかを審議する議案です!」じゃないでしょうか?

以前コラムかニュースで申し上げたように思いますが、村上さんたちは「44%しか買わない!経営権を取らない!議決権行使率を経営陣が努力してあげればよい!」などとおっしゃってはいるものの、いくらなんでもそりゃムリのある主張です。よくアクティビストがこういうことを言いますが、これはムリ筋です。だから経営方針はちゃんと説明する必要があると思われます。

しかしだからと言って、対抗措置を発動してよいのかというと、それは別問題なように思います。しかも普通決議で、そして村上さんたちに経済的損害が発生する可能性がある状況で。さすがに村上さんたちを実質的に追い出すのであれば、反対票を大きく上回る賛成票が必要ではないか、追い出す以上、村上さんたちに1円の損害も与えてはいけないのではないか、と思うのです。逆に言えば、反対票を大きく上回る賛成票を得て、経済的損害を一切発生させないのであれば追い出してもよいと思われます。

さすがにISSは対抗措置発動議案には賛成しない、いや賛成できないと思っていました。なぜかと言うと・・・ちょっと疲れたので休憩します。。。

 

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