2020年10月30日

DCMが絶対に出せない価格~昨日のWBS~

昨日のWBSでDCM、ニトリ、村上世彰氏がコメントしていました。非常に興味深いのでまとめます。

まずニトリですが、白井社長が直前に出された島忠の当座のコメントに対して「早い時間 スピードを持ってすぐに情報を出してもらい感謝している」とおっしゃっていました。残念ながらこれは島忠のLAである森濱田とFAの野村が事前に準備していただけです。また、DCMにも(買収の)興味はあるかという質問に対しては「まだちょっとそこまでは考えていません」とのこと。うーん、残念ながらDCMに敵対的TOBを仕掛けても負けます。答えは簡単です。

No.936 DCMがニトリに勝つ方法

そして村上世彰氏は「僕ら株主にとって公開買付けで全部買い取りたいというときは、株主に「出て行け」と言われているわけですよね。そうすると価格以外に僕たちがコメントできる要素はないと思うんですよ。その価格競争がきちんと起きたことは本当にうれしい。ニトリさんが大英断をして手を挙げてくれたわけですよね。周りから見たら敵対的だと言われるかもしれない。でもいったん会社を100%売りに出すなら価格以外で株主に報いる方法はないです。」とおっしゃっていました。うーん、正確にはTOBで全株買い取る行為は株主に対して「出て行け!」と言っているのではなく、「〇〇円で売っていただけませんか?」と言っているのです。所有株式を高く買わせるためにこのような表現を用いているのだと思いますが。。。ただ、村上さんがおっしゃっていることは全般的に正しいです。株主から全株買う以上、価格で魅力を訴えるしかありません。DCMと島忠のシナジーや魅力を株主に訴えたところで何も響きません。なぜなら株主は「出て行く」からです。株を売ってしまえば島忠との縁はそこで切れます。

なお、村上さんがもし「島忠の経営陣は会社を身売りするのだから、価格が一番高い先に賛同表明をしろ!」とおっしゃるのならそれは間違っています。会社は株主だけのことを考えて経営しているわけではありません。価格が高いからと言ってそれだけで済む話ではありません。従業員や取引先もいます。それらのステークホルダーのことも考えて経営統合先を決めます。ただ、TOBですから価格が最重視されることは間違いありません。島忠がこれまでの事例のように、まるで駄々っ子のように「ニトリに反対!突然敵対的TOBをする経営者とは一緒にやっていけない!絶対反対!」と言うだけでは負けます。

そしてDCMの関係者は「(ニトリは)DCMが絶対に出せない価格を出してきた。価格が高すぎる」とおっしゃっていました。また「うちは、価格を引き上げることも期間を再設定することもしない」「最後までやるだけ。うちは愚直な会社なんです」とも。

DCMと島忠はどうやればニトリに勝てるのかを愚直に考えればよいだけです。愚直に考えたら絶対に勝てる方法があります。TOBは価格だけでは決まらない勝負です。

 

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