2020年10月30日

DCMがコメントを公表~確かにベストパートナーなのかもしれませんが~

DCMがニトリのカウンターTOB(予)の公表を受けてと思われますが、以下のコメントを公表しました。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3050/tdnet/1894867/00.pdf

DCMも気付いていると言うか、わかった上で書いてらっしゃると思いますが、そもそもこのコメントは誰に向けたものでしょうか?島忠の株主に向けたもの、ではないのだろうと思います。おそらくニトリの登場を受けた「所信表明」的な位置付けでしょう。では、抜粋しながらコメントします。

当社は、企業経営を行っていくにあたっては、様々なステークホルダーとの 信頼関係が重要であると認識しており、他社との経営統合を行う場合であっても、全ての当事会社の企業価値を最大化するためには、当事会社間で相互の信頼関係を築けていることが重要であると考えております。また、その姿勢が、企業としてのブランド価値の維持、ひ いては当社の株主様に対して責任を果たすことにつながると考えております。

おっしゃるとおりだと思います。会社は株主だけで構成されているのではなく、従業員や取引先、地域社会といったステークホルダーで構成されています。会社経営を中長期的に行っていく場合、株主だけではなくすべてのステークホルダーと良好な関係を構築・維持することは不可欠です。もちろんM&Aをする場合も同じです。

当社と島忠は、約5か月間にわたり、相互の信頼関係を大切にし、お互いの事業・文化に対する理解を深めながら、お互いの事業価値を高めることについて慎重に協議・検討を重ねてまいりました。その結果、シナジーをより早期に最大化させるためには、対等の精神に則った経営統合を行うことが望ましいとの考えに至り、経営統合契約を締結したうえで本公開買付けを開始いたしました。なお、本経営統合の実施及び本公開買付けの開始に先立ち、当社は、当社のステークホルダーに対する責任を果たすため、島忠に対する厳正なデュー・ディリジェンスを実施しております。

これもおっしゃっていることは非常によくわかります。これから長い時間、同じ企業グループとして経営していくわけですから、相互の事業・文化に対する理解は必要不可欠ですし、信頼関係なくして一緒に経営などやっていけません。

本経営統合は、このような経緯で醸成された相互の信頼関係に基づいて決定されたものであり、当社は、当社こそが島忠にとって、最もシナジー効果を発現しやすいベストパートナーであると確信しております。引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

よくわかります。ベストパートナーなのでしょう。しかしこの「引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます」ってのは誰に言っているのでしょうか?TOBを実施している局面において、TOBを成功させるためにDCMが支援をお願いするのは島忠の株主でしょうね。でもこれでは島忠の株主はDCMを支援できませんよね。なぜならニトリはDCMを超えるTOB価格5,500円を提示しているからです。

おそらくDCMは「そんなことは言われなくてもわかっとるわい!」とおっしゃるでしょう。ですからこのコメントはニトリのカウンターTOB(予)に対する所信表明なのです。ニトリが5,500円のカウンターTOB(予)を出してきたから、TOB価格をどうするかはまだ決めていないけど、とりあえずニトリに一発かましといたる的な位置付けなのでしょう。

DCMの反撃を期待したいところです。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ