2020年11月18日

京阪神ビルディングに敵対的TOBを仕掛けたストラテジックキャピタルが回答書を公表

京阪神ビルディングに敵対的TOBを仕掛けたストラテジックキャピタルが、京阪神ビルディングが実施した質問に対して対質問回答報告書を提出しました。詳しくはEDINETをご覧ください。冒頭部分を抜粋します。

貴社は、意見表明報告書において、公開買付届出書に記載してある内容について多くの質問をされていますが、このように公開買付届出書に記載済みの内容ついて重ねて質問されたことは、貴社の株主の皆様及び株式市場の関係者の皆様への適切な情報提供という趣旨にそぐわないものであり、非常に残念です。改めて公開買付届出書を良くお読みいただきますよう、お願い申し上げます。

まあ、そうですねえ。たしかに「公開買付届出書に書いてあるやんけ!」と言われたら書いてあるものもあります。おそらく京阪神ビルディングは公開買付届出書に書いてある内容を踏まえ、それ以上の回答を求めたのでしょうが、質問の仕方が悪かったのかもしれません。相手は敵対的TOBを仕掛けてきたのですから、京阪神ビルディングの意図をくみ取って親切な回答をしてあげようなどとは考えてくれません。

本公開買付けに関する公開買付者の2020年11月4日付プレスリリース(以下「本プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、公開買付者は、貴社の株主の皆様及び株式市場の関係者の皆様への必要な情報提供の範囲を超えた質問回答の応酬によりいたずらに時間を過渡させることは、貴社の企業価値の維持の観点からも、株主価値の向上の観点からも、好ましいものではないと考えております。貴社におかれましても、是非、必要な範囲を超えた質問は止めていただきますよう、お願い申し上げます。

これはどうなんでしょうか???京阪神ビルディングの質問の仕方に難があったとしても、でも株主を含めたステークホルダーのために法律で定められた質問権を行使しただけではありませんか?べつにいたずらに時間を過渡させるものでもないでしょう?法律で定められた範囲内でのやりとりなのですから。

また、貴社は、意見表明報告書及び別紙「公開買付者に対する質問」の検討のために、弁護士を起用し、多額の報酬を支払っておられるのだと推察しますが、そうだとすれば、これもまた、貴社の企業価値の維持及び株主価値の向上の観点からは、好ましいものではないと指摘させていただきます。

いやいやいや。別に質問を作るためだけに弁護士を雇う訳ではないでしょ?ストラテジックキャピタルによる敵対的TOBへの対応として、法律上の不備がないよう法律専門家を雇って対応するのは当たり前では?だったら敵対的TOBを仕掛けるなよ!って京阪神ビルディングの方は思うでしょうね。

また質問権が実質的に機能しないことがよくわかりました。のちほど詳しくコメントしますが、敵対的TOBを実行してくる人に対して性善説で対応してはダメです。より具体的、より細かく質問しないときちんとした回答を引き出すことは難しいです。時間がない中でそんなていねいな質問書を作るのは難しいでしょう。そしてどんなにていねいな質問でも「機密なので回答できませーん」って回答されます。

法律上の質問権は機能しないのです。ですから私は買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型買収防衛策が必要だと申し上げています。買収防衛策は買収提案の実現を阻害するためのルールなどではなく、有事において株主をはじめとしたステークホルダーが買収提案に応じてよいか検討するための情報と時間を確保するためのルールなのです。

 

 

 

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