2020年11月27日

三井不動産による東京ドームへのTOBは日本の株式市場に大きな影響を与えます

まだ三井不動産がどういう経緯、条件で東京ドームにTOBをかけるのかわからないので何とも言えない部分はあるのですが、間違いなくこのTOBは日本の株式市場に大きな影響を与えます。

以下の朝日新聞の記事をご覧ください。少し抜粋させていただきます。

https://digital.asahi.com/articles/ASNCW05RZNCVULFA03S.html?pn=4

東京ドームは東証第1部に株式上場している。現在、大株主である香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」と激しく対立しており、三井不動産が友好的な買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げる形となる。

三井不動産と東京ドームは「今回のTOBはオアシスの行動とは関係ない」「以前から検討していたこと」と言うかもしれませんが、重要なのはそこではありません。事実関係や実態がどうこうではなく、重要なのは「どう見えるか?」なのです。

東京ドームはオアシスから各種経営改善の提案がされていました。外から見たら東京ドームはオアシスに攻め込まれ、非常に困った状況に落ちっているように見えます。そしてそこで登場したのが三井不動産であり、外から見たら「オアシスに攻め込まれて困った東京ドームが三井不動産に助けを求めた」という形に見えるのです。

ここが今回のポイントです。では今回のTOBを国内外のアクティビスト・ファンドはどう見るでしょうか?「日本の会社の株を買って経営改善要求をしたら、ホワイトナイトに助けを求める。そうすれば我々が持っている株を高値で買い取ってもらえる」と捉えるかもしれません。

日本の会社の安定株主比率はドンドン低下しています。以前であればアクティビスト・ファンドに攻め込まれても、安定株主に守ってもらえましたが、今ではそういう会社は少なくなっています。これから世界中のアクティビスト・ファンドが日本の会社をターゲットにし、様々な手法で攻め込んでくる可能性があります。

今回の三井不動産による東京ドームへのTOBは、世界中のアクティビスト・ファンドを日本に呼び込むきっかけになるケースかもしれません。日本の会社はこれから以前よりもさらに厳しい環境に追い込まれることはまず間違いないと思われます。

 

 

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