重要なことは敵対的TOBに発展するかどうかではない
マスメディアが「敵対的TOBに発展か?」という記事を書き始めています。
以下のような流れになるかもしれませんので、マスメディアの定義する敵対的TOBには発展しない可能性はあります(おそらくマスメディアは対象会社が反対という意見表明をしたら敵対的TOBと見なしているのだと思われます。一方、当社は対象会社取締役会の賛同を得ずに実施した時点で敵対的TOBと見なしています)。
東京製綱の対応次第では以下のような作戦が展開される可能性もあります。
今回のケースで最も重要なことは、東京製綱が反対意見を表明してマスメディアの定義する敵対的TOBに発展するかどうかではないと私は考えます。重要なことは、敵対的TOBに発展する可能性がある状態の中で、日本を代表する「鉄は国家なり」の日本製鉄が東京製綱に仕掛けたという点です。
かつて日本製鉄は買収防衛策を導入していました。ミタルスチールからの買収リスクにさらされていました。業界をあげての持ち合いも実施しました。そして住友金属と経営統合をしました。
私は日本製鉄という会社は日本の上場会社の中で最も敵対的TOBについて深く考えてきた会社だと思っています。買収防衛策、企業防衛について人一倍考えてきた会社です。その日本製鉄が敵対的TOBを仕掛ける側にまわったのです。これは大変重要な変化です。
私は「企業防衛のことを考えるということは、なにも守りだけを考えることではない」と常に申し上げてきました。企業防衛=ディフェンスを考えるということは、自社に対して敵対的TOBを仕掛けられたら何をすればよいか?何をすれば攻められないか?そのためには平時から何をしておけばよいか?を考えるということです。
日本製鉄は常にそういうことをきちんと考えてきた会社なのだと思います。今回の敵対的TOBは、確かに規模は小さいです。でも敵対的TOBであることには違いありません。レピュテーションリスクを負います。でも日本製鉄は敵対的TOBを選択しました。
企業防衛を考えるということはそういうことなのです。