2021年02月24日

よりによってなんでうちなんですか・・・

フリージア・マクロスが日邦産業に敵対的TOBを仕掛けていますが、行使された質問権に対してフリージア・マクロスが以下のとおり対質問回答報告書を提出しています。P15における日邦産業の質問「6. 当社と公開買付者の間の事前の協議について」で日邦産業はフリージア・マクロスに対して面談の内容について確認しています。

http://www.freesiamacross-extruder.com/jp/pdf/notification/20210218.pdf

フリージア・マクロスの回答を一部抜粋します。

公開買付者側でも2020年4月9日に実施した面談の内容を再度社内で確認させて頂きましたが、対象者の代表取締役である岩佐 恭知氏(「岩佐氏」)とは、情熱をもって、本公開買付届出書に記載した内容の通りの話し合いを行いました。ご面談の場で岩佐氏も公開買付者の説明にうなずきかけた場面もありましたが、隣にいた対象者の取締役の三上 仙智氏(「三上氏」)が、急いで岩佐氏を諫めるようにしながら、半ば強引に社長である岩佐氏に拒否を促しました。これらの話し合いの際、「三上氏はとても困ったような、悲しそうな両方の想いが入り混じった表情をしながら、(佐々木さん、よりによってなんでうちなんですかぁ)と仰ったのを印象深く覚えております。と言うのは、対象者の実質上の社長はいったい誰なのだろうと感じたからです。」という報告がその面談の席に立ち会った公開買付者の担当者から報告されております

うなづきかけた場面もあった、半ば強引に社長に拒否を促した、とても困ったような悲しそうな両方の思いが入り混じった表情、というのはあくまでフリージア・マクロス側の印象ですよね?事実なのかどうかはわかりませんね。

ただ「(佐々木さん、よりによってなんでうちなんですかぁ)と仰った」とあるので、「よりによってなんでうちなんですかぁ」とおっしゃったのは事実なんでしょうかね・・・。

これ、重要です。対フリージア・マクロスという意味で重要ということではなく、ターゲットになった会社のだいたいの方が「よりによってなんでうちをターゲットにしたのさ・・・」と考えるということです。これに答えはありません。まあ、買収者側に聞けばわかることではありますが、別に他の会社でもよかったのかもしれませんし、似たような会社もあったでしょう。いろいろな事情があって、今回は日邦産業がターゲットになったということです。

ですから、「数多くの上場会社があるのに、どうしてうちをターゲットに・・・」とみんなが考えるのです。そして今回はたまたま日邦産業がターゲットになりましたけど、明日ターゲットになるのは貴社かもしれないということなのです。上場している以上、ある日突然、大量保有報告書が提出されたり、敵対的TOBを仕掛けられたりすることは、等しく全社が負っているリスクです。※そのリスクを回避するためにMBOをして非公開化すべき、と私は微塵たりとも考えません。上場していることは多大な意味がありますし、上場を継続すべきと言うのが私の考え方です。

どうして日邦産業がターゲットになり、貴社がターゲットではなかったのか?単に「たまたま」ですね。これから先、フリージア・マクロスや佐々木ベジ氏といった買収者以外にも、いろんな人が日本の株式市場に登場するでしょう。旧村上ファンドも暴れまくっています。オアシスといった海外の投資家もいます。エフィッシモも敵対的TOBを被災ぶりに仕掛けました。伊藤忠商事やHOYA、前田建設工業、ニトリといった名だたる上場会社まで敵対的TOBを経営戦略の1つとして選択しました。

狙われないためにはどうするか?平時のうちからやるべきことをやっておく必要がある、ということです。少なくとも買収防衛策と呼ばれているけど、本当は買収防衛策などではない事前警告型ルールの必要性をきちんと検討し、導入を再考すべきと考えます。

 

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