2021年03月12日

日本アジアグループは旧村上ファンドの買付行為が強圧性が高いとおっしゃっていますが・・・

日本アジアグループ、特別委員会は旧村上ファンドの買付行為が「強圧性が高い」とおっしゃっています。以下の「株式会社シティインデックスイレブンスらによる当社株式を対象とする大量買付行為の具体的かつ切迫した懸念への対応方針(買収防衛策)の概要」のP3にあります。

https://www.japanasiagroup.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021-3-9_2.pdf

シティ社らが市場で当社株式を買い集める、または再度公開買付けを開始する等して、 支配株主となることで、当社の企業価値が毀損されることを懸念する株主が、株主として留まる ことにリスクを感じ、自らの意思に反し当社株式を売却せざるを得ないと考えるおそれがあります

この強圧性の問題を解消した上で、株主の皆様がシティ社らの大量買付行為による支配権移転 の是非を判断できる機会を提供する必要があります

またなが~い方のプレスには以下のとおり記載されています。

① シティ社らが市場での買い集めにより、当社の経営権を取得する場合、株主は、シティ 社がもたらす当社の企業価値への悪影響のおそれを懸念し、本公開買付けに応募せざるを得ないと考え、自己の意思に反して当社株式を売却する懸念がある。

② 本特別委員会からの強い要請にもかかわらず、シティ社が強圧性を有する買付予定数の下限の設定をしない本公開買付けを開始したことを踏まえると、シティ社らが再度公開買付けを開始する場合にも、同様に買付予定数の下限が設定されないなど、強圧性のある公開買付けが行われる可能性が高い。

旧村上ファンドが実施したTOBには上限・下限が付いていませんでした。必ず成立する条件のTOBです。つまり一般株主が「1,210円という価格は本当は安いんだよなあ」と考えていたり、「旧村上ファンドが支配したら企業価値が毀損されるリスクがあるよなあ」と考えていたりしても、「でも成立要件に下限がついていないから、絶対にTOBは成立するし、みんな応募しちゃうんだろうなあ。イヤだけど応募するしかないなあ」と応募せざるを得ない強圧性があるということです。

でもこれって程度の差はあれども、当初のMBOだってそうじゃないですかね?以下、MBO公開買付届出書からの抜粋です。読みやすさを考慮し( )などは削除している場合があります。

公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、2020年11月5日付で、対象者株式492,030株(所有割合:1.79%)を所有する山下氏との間で本公開買付けに応募する旨の合意を含む本取引契約を締結するとともに、山下氏が支配する資産管理会社であって、対象者の第2位株主として対象者株式2,624,800株(所有割合:9.56%)を所有するJAPAN ASIA HOLDINGS LIMITED、山下氏が支配する資産管理会社であって、対象者の第5位株主として対象者株式673,600株(所有割合:2.45%)を所有するJA PARTNERS LTD、並びに対象者株式3,448,760株(所有割合:12.56%)を所有し、対象者の筆頭株主、かつ、主要株主である藍澤證券との間で、それぞれ本公開買付けの応募に関する契約を締結し、応募合意株主が所有する対象者株式の全て(合計7,239,190株、所有割合:26.37%)を本公開買付けに応募する旨を合意しております。

(中略)

本公開買付けにおいて、公開買付者は、対象者株式を非公開化することを目的としているため、18,303,000株(所有割合:66.67%)を買付予定数の下限と設定しており、本公開買付けに応募された対象者株式の合計が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全ての買付け等を行いません。なお、買付予定数の下限(18,303,000株)は、対象者四半期決算短信に記載された2020年9月30日現在の対象者の発行済株式総数(27,763,880株)から、対象者四半期決算短信に記載された同日現在の対象者が所有する自己株式数(890,200株)から同日現在の対象者の株式給付信託(BBT)の所有分(580,800株)を除いた株式数(309,400株)を控除した株式数(27,454,480株)に係る議決権数(274,544個)の3分の2以上となるよう設定したものであります。

MBOも下限を付してはいましたが、経営者やその資産管理会社、友好的な株主が26.37%もいて、その人たちと応募契約を締結していたんですよね?だから旧村上ファンドは日本アジアグループ・特別委員会から「下限をつけろ!」と言われても、「え?MBOに応募契約した人たちはぜったいにこっちのTOBには応募しませんよね?下限付けたら成立する可能性は相当低いですよね?下限、つけられませんよ」と主張したのでは?

当然、応募契約を締結したのは7,239,100株であり、下限は18,303,000株ですから「下限はついとる!応募契約した株数よりもはるかに上じゃ!」と主張するのでしょうけど、日本アジアグループも賛同表明しているし、一般株主が「MBO価格は600円だけど、オレたちだけではどうしようもない。どうせ下限は超えてくるだろう。応募するしかない」と考えるのでは?もちろん、程度の差はあります(笑)

そこに現れた株主にとっての救世主が旧村上ファンドだったわけです。市場でどんどん買い増した結果、MBO価格は600円の倍である1,200円に引き上げられました。「最初のMBO価格はいったいなんだったんだ?会社の内情を知り尽くしている経営者が行うMBOなのに、一般株主から不当に安く買い取ろうとしていたのか?最初の価格は半値じゃないか!」と思われても仕方のない行為ではないでしょうか?

今回の一連の日本アジアグループの行動を見ていると、どうにも納得ができませんね。

600円でMBOしまーす!

旧村上ファンド登場!⇒MBO価格を1,200円にしまーす!

旧村上ファンド1,210円でカウンターTOB⇒特別配当しまーす!

旧村上ファンドが買い増してくる可能性があるから買収防衛策を導入しまーす!

これでは株主が納得せんでしょ?600円を例えば700円とか800円にするくらいなら(私は納得できませんけど)まあまだわからんでもない。でも600円を1,200円ってどうなのって話です。

だから私はMBOが嫌いなのです。MBOをするときは、一度出したTOB価格を修正できないってルールにしたらどうですか?

 

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