富士興産の状況をまとめます
アスリードキャピタルという投資家が富士興産に敵対的TOBを仕掛けました。アスリードキャピタルという投資家のことは知りませんでしたが、ネット検索すると以下の記事が見つかりました。
http://tskeightkun.blog.fc2.com/blog-entry-11684.html?sp
アスリードキャピタルを設立したのは門田泰人さんという方で、経歴は以下のとおりです。
https://money-satellite.matsui.co.jp/cast/#cast-20
アスリードが大量保有報告書を提出しているのは以下の会社です。
1448 スペースバリューホールディングス:保有割合17.75% 時価総額263億円
2410 キャリアデザインセンター:保有割合18.01% 時価総額70億円
5009 富士興産:保有割合14.83%(所有割合16.29%) 時価総額97億円
富士興産の株価、アスリードの保有割合の推移、直近の取得単価、TOB価格は以下のとおりです。
そして敵対的TOBが成功するかどうかを予測する上で大切なのが富士興産の株主構成です。2020/3期末のデータは以下のとおりです。
外部から見た安定株主比率は、JXTGホールディングスをはじめとした「その他の法人」15.80%⇒議決権ベースだと17.01%、三菱UFJ銀行4.18%、あいおいニッセイ同和2.13%、三菱UFJ信託銀行1.73%(政策投資と想定)、損害保険ジャパン1.26%の合計26.31%です。そして今回のTOB条件は以下のとおりです。
TOB価格:1,250円
TOB期間:2021年4月28日(水)から6月14日(月)まで(30営業日)
買付け前保有株式数:1,335,500株 (所有割合16.8%)
買付予定数: 6,635,803 株
買付予定数の下限: 1,853,100 株(買付け後所有割合40.0%)
買付予定数の上限: 上限無し
公開買付代理人:三田証券、マネックス証券
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000078764.html
TOB価格が高いのかと言われれば、そうでもないように思います。ただ、すでにアスリードキャピタルは16.8%の株式を所有しており、TOB成立の下限は1,853,100株です。下限をこの水準にしたのは、TOB後に非公開化を予定しているものの、株主総会における議決権行使率(70%程度とのこと)やTOBに応募しないパッシブ・インデックス運用の投資家の存在を考慮したとのことです。
敵対的TOBが成功するかどうかは、47%もいる個人株主がどう動くか、8.20%保有する重田光時氏らが応募するかどうかではないかと思われます。またほかにもいろいろなことが想定されますが、いずれまとめます。ちなみに上記大株主の状況では村上世彰氏のお嬢さんであるNOMURA AYA氏が4.82%所有していますが、直近の第2四半期報告書の大株主の状況では登場していません。
それにしてもまた敵対的TOBです。日本企業は買収防衛策の導入についてもう一度議論をし始める必要があると思います。