2021年08月10日

東京機械製作所が有事導入型で対抗

以下のニュースで取り上げたことのある東京機械製作所という会社が有事導入型買収防衛策で対抗することを公表しています。

https://ib-consulting.jp/newspaper/3667/

公表資料は以下のとおりです。

https://www.tks-net.co.jp/corporate/wp-content/uploads/2021/08/e25fbdcb8ccaacd3254e75bc317866d4.pdf

導入理由は以下のとおりです。

アジアインベストメントファンドが 2021年7月20日に提出した大量保有報告書によれば、アジアインベストメントファンドによる当社株式の保有目的は「純投資」とされておりましたが、同社が 2021年7月21日に提出した大量保有報告書の変更報告書においては、当社株式の保有目的を「支配権の取得。ただし、現時点で、発行者に取締役候補者を派遣することは予定していない。」と変更しており、当社の支配権の取得を目的として本買集め行為を進めていることが明らかにされています。当社は、アジアインベストメントファンドらに対し、2021年8月3日、当社株式の支配権取得を目的とされているのであれば、当社一 般株主がアジアインベストメントファンドらの株式取得に応じるか否か検討することを可能にするために、 当社の経営支配権を取得した後の経営方針等に関する情報を提供し、かつそれを検討するための考慮期間を確保するよう書面にて要請いたしましたが、アジアインベストメントファンドらからは、本日に至るまで何らの連絡はありません。このように、当社は、アジアインベストメントファンドらが、本買集めについて当社に何ら事前連絡なく行っており、その目的および諸条件について当社に一切の情報共有がなされておらず、また、本買集め実施後の当社の経営方針等についても全く説明がないこと等に鑑みると、本買集めの目的ないしその結果が、当社の企業価値ないし株主共同の利益に反するおそれは否定できないものと認識しております。 当社取締役会は、大規模買付行為等を受け入れるか否かの判断は、最終的には株主の皆様によってなさ れるべきものであると考えておりますが、そのためには、当社の企業価値ないし株主共同の利益に反する事態が生じないよう、アジアインベストメントファンドらによる本買集めが、当社の企業価値やその価値 の源泉に対してどのような影響を及ぼし得るかについて、株主の皆様が適切なご判断を下すための情報と時間を確保することが必要であると考えております。

有事導入型の対象となる買付行為は20%以上の株式取得なのですが、すでにアジアインベストメントファンドは東京機械製作所の株式を34.06%(本日提出の変更報告書)保有していますので「アジアインベストメントファンドらは、本対応方針導入時において、当社の議決権割合が 20%以上となっておりますので、大規模買付者に該当し、新たな当 社株式の取得等をすることは大規模買付行為等にあたることになります。」としています。

最近、有事導入型での対抗が目立ちますね。平時導入型を導入する場合、機関投資家が反対する可能性は高いものの、やはり買収防衛策はきちんと平時から導入しておく方がよいと考えます。買収防衛策には虫よけ効果があります。買収防衛策の目的は「有事なったら買収防衛策を発動して対抗すること」ではありません。本当の目的は「有事にしないこと」なのです(もちろん平時の買収防衛策を導入していても有事になることはありますが)。

きちんと平時から自社の企業防衛体制を確立し、そしてやるべきことをやり、有事にしないことが大切なのです。有事にしてしまったら、社長やCFOが本業に専念できなくなります。有事にしないよう、買収防衛策や株主価値向上の議論を平時から進めておく必要があるのです。

 

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