2021年09月17日

新生銀行が留保の意見表明と質問権行使、そして・・・

ある意味想定どおりですが、新生銀行がSBIの敵対的TOBに対して留保の意見表明+質問権を行使しました。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120210917499948.pdf

意見の骨格としては、

・本公開買付けは、当行に対して、事前の連絡もないまま一方的に開始されたものであり、本公開買付けについて評価及び検討する上で重要であると考えられる多くの事項の詳細が明確ではない

・本公開買付けにより、SBIHD らは実質的に当行の経営を支配することが可能であると考えられるところ、少数株主の利益の観点から慎重に本公開買付けを評価及び検討する必要がある

・金融サービス業の中核たる銀行として、高い公共性を有し、広く経済・社会に貢献していくという重大な責任を負っている企業として、経営のあり方や当行を支配しうる大株主のあり方については慎重にこれを検討する必要がある

という形で構成されており、だから「いろいろと確認しなきゃならんので質問権を行使」という感じです。

そして、新生銀行は買収防衛策の導入を公表しました。しかし買収防衛策って表現、やめません?買収防衛するための策じゃないんですから・・・。時間と情報を確保することが目的なんでしょ?自分で自分のクビをしめてどーすんの。

そもそも新生銀行はプレスで「平時に導入されるいわゆる事前警告型買収防衛策とは異なるもの」ってわざわざ書いてあり、だとすると東証の指導?である「表題に(買収防衛策)と記載する音」に従う必要はないのですから。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120210917499946.pdf

では、新生銀行が導入を公表した買収防衛策の概要を以下まとめます。

今回買収防衛策を導入する目的は以下のとおりです。

■大量買付行為に応じるかどうかは最終的に株主が決めること。ただし、株主が適切に判断するに当たって、大量買付行為に先立って、株主意思確認総会によって株主の総体的な意思を確認する機会を確保することが必要。また、ちゃんと検討するためにも、大量買付者等からの必要十分な情報 提供及び株主の皆様における検討時間を確保することが必要。

そして、新生銀行がSBIに求める手続きや流れは以下のとおりです。なお、以下の内容はプレスリリースを読んだ上で、わかりやすいように私の解釈を踏まえて書いたものですので間違いがあるかもしれません。正確な内容は新生銀行のプレスをご確認ください。

■SBIはすでにTOBを行っていることから、ルールに定める大量買付行為の予定の有無の確認手続きを省略し、株主意思確認手続きを進める。株主意思確認総会を確実に開催できるよう、当行はSBIに対して公開買付期間を60営業日にするよう書面にて要請した。

■当行取締役会は、SBIから提出された情報をもとに、TOBに賛同するか、反対するか、反対する場合に対抗措置を発動するかを評価検討する(取締役会評価期間)。なお現時点で留保の意見表明において質問権を行使しているが、回答内容が不十分と判断した場合は追加的に情報提供を求めることがある。

■取締役会評価期間は30日程度とし、取締役会評価期間内にTOBに対する賛否や対抗措置発動・不発動が決められない場合は、最長30日延長できる。

■当行取締役会がTOBに対して反対で、対抗措置を発動すべきと考える場合には、株主意思確認総会を開催することを取締役会評価期間内に決定し、速やかに株主意思確認総会を開催する。なお、時間がないので、予備的に基準日を10月13日(水)と定めた(公告日は9月28日(火))。

■株主意思確認総会において対抗措置発動議案が普通決議で可決された場合、かつ、TOBが中止・撤回されない場合は差別的行使条件のついた新株予約権の無償割当を実施(全株主に新株予約権が付与されるものの、SBIは行使できないため、SBIの持株比率が希釈化されるという仕組み)。

■なおSBIがルールに従わずTOBを延長しない場合(株主意思確認総会前に終了させるような場合など)、株主が検討するための時間を確保できないことになるため、当行取締役会は暫定的に対抗措置を発動させ、そして株主意思確認総会を開催し、最終的に株主の意思確認を行った上で発動させる。※つまりいったん取締役会決議で発動するものの、まだ希釈化が生じる状態にはせず、株主意思確認総会で決議を取った上で最終的に発動ということ。

■なお当行はSBIに対してTOB期間を60営業日にするよう本日要請。9月30日(木)正午までにTOB期間延長に関する訂正届出書が提出されない場合は取締役会決議でひとまず発動。

うーん、以下の日経の記事では「新生銀がTOB期間の延長を求めるのは「株主が十分に検討する時間を設けるため」との意味合いが大きい。」とあるのですが・・・。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB173290X10C21A9000000/
新生銀行が今回公表したのは普通の有事型買収防衛ではないでしょうか?まあ、もちろんSBIがTOB期間を延長し、新生銀行の取締役会がどういう判断をするかが重要なので、今の時点で「発動することが目的に違いない!」と断じるのは早計ですね。

さて、新生銀行は時間をかせぐことができるでしょうか?SBIはTOB期間の延長に応じるでしょうか?

それにしてもプレスが長い・・・。

 

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