2022年08月16日

ジャフコの有事型買収防衛策 ③平時型とは違うと言っているが、仕組みは平時型そのものではないか?

有事型買収防衛策を導入したジャフコはプレスリリースでこう言っています。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/2174167/00.pdf

本対応方針は、既に具体化している本株式買集めを含む大規模買付行為が行われる具体的な懸念への対応を主たる目的として導入されるものであり、平時に導入されるいわゆる事前警告型買収防衛策とは異なるものとなります。

東洋建設も同じようなことを言ってましたね。以下です。東洋建設の場合はもっと強烈に主張していました。

No.1333 東洋建設さん、ここのロジックがおかしいからYFOに買収防衛策だ!って言われちゃうんですよ

本対応方針は、大規模買付行為等が行われる具体的かつ切迫した懸念への対応を主たる目的として導入されるものであり、平時に導入されるいわゆる買収防衛策とは異なるものです。即ち、本対応方針は、当社の中長期的な企業価値ないし株主の皆様共同の利益を最大化するための、いわば「対等な交渉力確保目的スキーム」であって、買収防衛を目的とした一般的な「買収防衛」策ではございません。

ジャフコが導入したのも、東洋建設が導入しようとして実質否決されたのも、平時型と同じ仕組みの買収防衛策で、ターゲットと特定の株主に絞った内容です。なお、まさに有事になってから特定の株主からの買収提案に対して対抗措置を発動するという意味において、有事型買収防衛策こそが買収防衛策であり、情報と時間の確保を主目的とする平時型買収防衛策のほうがいわば「対等な交渉力確保目的スキーム」ですよ。まあ、そんなダサイネーミングはしませんけど。

ジャフコは大規模買付行為が行われる具体的な懸念への対応を主たる目的として導入される、と言っていますが、まあ、たしかにそうかもしれません。でも、それって大規模買付行為が行われる具体的な懸念に対して導入するのであれば、まさに買収防衛策ですよね?しかも平時型と仕組みはまったくと言っていいほど同じです。

ジャフコの有事型の仕組みもそうです。情報と時間を確保する、という狙いは平時型と同じです。どうして平時型と同じですよ、時間と情報を確保することが主目的なんですよ、と言わないのか?平時型と同じですと言ってしまうと、機関投資家が導入に反対するからでしょうね。だから「平時型とは違うんです。有事型なんです」と主張するのでしょう。仕組み、同じですけどね。

平時型とは違うと言うけど、中身を読んでも平時型と同じ仕組みとしか思えない、どこが違うのだろうか、と株主は戸惑うんじゃないでしょうか?非常にわかりにくいです。

これ、昔からよくある導入のタイミングです。特定のアクティビストが登場した時点で、平時型買収防衛策を導入する、ただ、特定の投資家対策というわけではなく、あくまで一般的な平時型である、として導入します。なぜなら、特定のアクティビストが登場したけど、特に具体的な買収提案をされているわけではない、だからそのアクティビストを狙い撃ちにするわけにはいかない、だから一般的な買収防衛策で対抗する、と。

ジャフコだって一緒でしょ?「いや、違う!51%買う可能性を示唆されている!」 具体的に提案されたわけじゃないでしょ?だったら、この状況においては平時型買収防衛策を導入するのが自然では?そしてプレスの中で「旧村上ファンドと面談した際、当社株式を51%取得する可能性があることを示唆されていますが、具体的な買収提案を受けている状況ではありません」と記載すればよいだけですよ。

そして次にまとめますが、この有事型買収防衛策をもっともわかりにくくしているのが、臨時株主総会を開催することです。

 

 

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