2022年08月16日

ジャフコの有事型買収防衛策 ④何のための臨時株主総会なのかまったくわからん

旧村上ファンド対策として有事型買収防衛策を導入したジャフコですが、導入方法は取締役会決議であり、株主総会決議を経て導入するわけでないようです。ただし、ジャフコは臨時株主総会を開催する方向で調整しています。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/2174169/00.pdf

この臨時株主総会の意味が私にはまったくわからないのです。当初、上記の臨時株主総会招集のための基準日設定のプレスをぱっと見た際、「ああ、有事型買収防衛策の導入議案をかけるんだな」と思ったのですが、中身を見てみるとどうも違うのです。臨時株主総会を開催する目的は以下のとおりです。

1. 本株主意思確認総会に係る基準日等について

当社は、本株主意思確認総会を開催することとなった場合に備え、本株主意思確認総会において議決権を行使することができる株主を確定するため、2022年8月31日を基準日と定め、同日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主をもって、本株主意思確認総会において議決権を行使することができる株主といたします。

(1)基準日 2022年8月31日

(2)公告日 2022年8月17日

(3)公告方法 電子公告により下記の当社ホームページに掲載いたします。 https://www.jafco.co.jp/ir/shareholder/notification/

2022年8月31日からら3か月以内に開催する可能性がある臨時株主総会(=本株主意思確認総会)招集のための基準日設定について決議したそうなのですが、私の率直な感想は「なぜ今???」です。

たしかに旧村上ファンドはジャフコに対して面談時に「51%の株式を買う可能性がある」と示唆したのかもしれませんが、なんら具体的な提案をしたわけではないと思われます。ジャフコがなぜ臨時株主総会を開催するのか、何を議案として付議するのかは以下のとおりです。

当社は、本対応方針上、当社取締役会が大規模買付行為等に反対の立場をとり、これに対して本対応方針に基づく対抗措置を発動すべきであると考える場合には、大規模買付者が本対応方針に定めた手続を遵守する限り、対抗措置の発動に関する議案に対する賛否を求める形式により、大規模買付行為等がなされることを受け入れるか否かに関する株主の皆様のご意思を確認するべく、本株主意思確認総会を開催することとしております。当社は、シティらによる大規模買付行為等に係る今後の評価・検討の結果、又はその他の理由により、本株主意思確認総会を開催することとなった場合に備え、本日、当社取締役会において、その招集のための基準日の設定について決議いたしました。 なお、当社は、本株主意思確認総会を招集することとなった場合には、その開催日及び開催場所並びに付議議案の詳細等につきまして、決定次第お知らせいたします。

これ、ようは「うちは旧村上ファンド対策として有事型買収防衛策を取締役会決議で導入しました。旧村上ファンドがルールに則って20%以上の株式を取得したいと意向表明をしてきた場合、その後、質問と回答のやり取りをすることになりますが、最終的に取締役会が旧村上ファンドの株式取得に反対し、対抗措置発動が必要と判断した場合、株主意思確認総会を開くことになります。それに備えて、今の段階で臨時株主総会開催の基準日設定だけはしておきます」ってことですかね?

でもね、旧村上ファンドがルールに従って株式取得の提案をしてきた場合、ジャフコと旧村上ファンドは情報提供に関するやり取りをするわけですよ。そして、以下のとおり、ジャフコは旧村上ファンドが大規模買付行為等趣旨説明書を提出してからから60営業日以内に、質問と回答のやりとり、取締役会による評価、株主意思確認総会の開催を行うことになります。

ジャフコによる旧村上ファンドを対象とした有事型買収防衛策を解説

旧村上ファンドが本当にジャフコ株を20%以上取得しようと考え、ジャフコに対して大規模買付行為等趣旨説明書を提出してから基準日設定をすれば十分間に合うのでは?たしかに旧村上ファンドはかつていろんな会社の株式を大量に買い、いろいろな提案をしてきたことのある投資家ですから、ジャフコも同様のことをされる可能性は高いかもしれません。でも、現時点で旧村上ファンドは具体的な提案をしていませんし、51%取得する可能性を示唆したのであれば、とりあえず買収防衛策の導入を公表すればよかっただけではないでしょうか?

なぜ臨時株主総会の基準日設定まで現時点でするのか、私の脳みそでは理解できないです。誰か教えていただけませんか?この臨時株主総会の基準日設定が、なおさらこの有事型買収防衛策の仕組みを複雑化しているように思えます。基準日設定、本当に必要?単純に、平時型買収防衛策を取締役会決議で導入し、プレスの中で「旧村上ファンドが51%の株式を取得する可能性について示唆しましたが、当社は具体的な買収提案を受けた訳ではありません」と書けばよかったのでは???なんだかオリジナリティを追求するがあまり、わけのわからん仕組みができあがったという印象です。

あと、臨時株主総会の基準日設定をしたことが裏目にでてしまうリスクはないでしょうか?ちょっと気になっています。

 

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