2023年03月23日

コスモが中期経営計画を公表

旧村上ファンドに19.81%の株式を取得されたコスモエネルギーHDですが、中期経営計画を以下のとおり公表しました。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120230322533811.pdf

コスモは旧村上ファンドに株式を取得されたものの、旧村上ファンド側が当初は20%以上取得しないと言っていたため、有事型買収防衛策などを導入していませんでした。しかし旧村上ファンドの主張が変化してきて20%以上買うとか役員を送り込むなどの発言が出てきたため、以下のとおり2023年1月11日に有事型買収防衛策で対抗することを公表しました。

https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/information/press/pdf/230111jp_01.html

いろいろと細かいやり取りはあったようですが、今回はそのあたりの説明は割愛します。旧村上ファンドはコスモに対して必要自己資本額とか株主還元が足りないとか、いろいろと主張していましたが、コスモは3月23日に中計を公表するから待ってくれと言ってました。ようは今日の中計は旧村上ファンドの要求に対する回答と位置付けることができるでしょう。

旧村上ファンドは以下のプレスで、こう言っています。

2023年1月27日 コスモエネルギーホールディングスの第七次中期経営計画についての弊社らの考え方

弊社は、コスモにおいて今後多額の成長投資が必要になるのは、再生エネルギー事業のみであると考えております。仮にこれまでの自己資本目標である4,000億円よりも余裕を持たせ、環境対応等のバッファを考慮しても、自己資本目標は5,000億円程度が最大であると考えます。

したがって、弊社は、コスモに対し、中期経営計画における自己資本目標は5,000億円を上限とし、当期純利益のうち自己資本5,000億円を超える部分については、その100%相当を株主還元に充てる方針とすることを求めます。

本日コスモが公表した中計をざっと見ると、必要自己資本や株主還元については以下のように言っています。

旧村上ファンドは「必要自己資本は5,000億!超える部分は100%株主還元に充てろ!」と言っています。対してコスモは「必要自己資本額は6,000億円。3か年累計総還元性向60%」としました。収益性のところであげている当期純利益が「900億円~1,200億円」となっているので、累計60%だから「(900億円~1,200億円)×3年×60%」と理解すればいいのでしょうか???仮に当期純利益が1,000億円で推移したら、1,000億円×3年×60%=1,800億円を株主還元に充てる、ということ?※(3月23日20:20修正)中期経営計画P36左側に「株主還元1,000億円」とありました。訂正いたします。

コスモの明日以降の株価にどれくらいのインパクトがあるのか予想するのは私には困難ですが、もちろんコスモも株価を上げたいのでしょう。なぜかと言えば、旧村上ファンドから自己株TOBで買い取りたいから、ですね。

そして旧村上ファンドの平均取得価格ですが、2022年11月22日に提出された変更報告書で計算すると、取得資金(22,472,460千円+14,878,128千円+19,529,727=56,880,315千円)÷保有株数16,800,826株=3,385円です。

コスモの今日の終値は3,850円です。PBR0.58倍です。この株価がどれくらいまで行くのか?上がった価格をベースにして自己株TOBで買い取りたいとコスモは旧村上ファンドと交渉するのでしょうか?

当たり前ですけど、株価次第ですね。まあ、過去の例と同じく、プレミアムを付けることもあり得ます。もし旧村上ファンドが、仮に自己株TOBを実施した場合に応じたら、どれくらいのお金を得るのでしょうか?そしてそのお金がまた新たな先に振り向けられるのです。

 

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