2023年07月13日

日本電産が敵対的TOB!

日本電産あらためニデックが、敵対的TOBあらため同意なきTOBを実施するそうです。以下の日経ニュースです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF30AC60Q3A630C2000000/

ニデック(旧日本電産)は東証スタンダード上場の工作機械メーカー、TAKISAWAに買収提案する。現時点でTAKISAWAの経営陣は賛同していないが、同意が得られなくてもTOB(株式公開買い付け)に乗り出す。2021年に参入した工作機械の品ぞろえを広げるため、強気のM&A(合併・買収)に踏み切る。

TOB価格は『この1カ月の株価の2倍程度、PBR1倍近くとなるプレミアム(上乗せ幅)を付けた1株当たり2600円をTOB価格とし、株主の応募を促す。買収金額は百億〜百数十億円になるもよう。』だそうです。記事を見ると、下限を過半数にする感じですね。

ちなみにTAKISAWAは買収防衛策導入企業です。なおかつてニデックが2008年に敵対的TOB提案をした東洋電機製造も買収防衛策導入企業でした。2008年9月にルールにのっとってTOB提案をしたものの、12月に提案を撤回しました。永守さんはやり取りを通じて「東洋電機製造の経営陣とはうまくやっていけないから」と言っていましたが、私はそうではないとみています。2008年に永守さんがTOB提案をしたのちに発生したのがリーマンショックです。当時のインタビュー記事などを見ると永守さんは「会社がつぶれるかと思った」といった趣旨の発言をしています。だからおそらく他社にかまっている余裕がなくなったから断念したのでは?と私は考えています。

以下はTAKISAWAの買収防衛策です。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03883/8a0b7507/59a6/4f5f/b18c/c1ba71efe453/140120210514418369.pdf

20%以上の株式を取得する場合はルールに従えという内容です。

そしてTAKISAWAの株主構成は以下の通りです。

外部から見た安定株主比率ですが、その他の法人6,192個・9.72%(総議決権63,675個)、滝澤鉄工所取引先持株会5,490個・8.60%、中国銀行2,890個・4.53%、滝澤投資会800個・1.25%、三井住友信託800個・1.25%、役員423個・0.66%の合計26.01%です。時価総額104億の会社だったらもっとないとマズいですね。低すぎます。

しかし、だからと言ってニデックの敵対的TOBが成功するというわけではありません。個人株主比率が高い会社で、たぶんOBとかもいるでしょうから、実際の安定株主比率はもっと高いでしょうし、岡山の会社のようで地元の株主なんかもいるでしょう。そうなると攻めるほうにとってはちょっとやっかいではあります。北越の事例があります。

まずは買収防衛策のルールに則った対応が必要になります。そしてYAKISAWAはこの確保した時間の中で何をやるかが重要になってきます。

経済産業省もM&Aの活性化で日本企業の価値を高めることを狙い、年内にも新しい指針を策定する予定。指針案では買収提案者に適切な情報開示を求めるとともに、買収提案を受けた側は企業価値に照らして、合理的な理由がなければ提案を拒んではならないと定めている。

おそらくTAKISAWAは「合理的な理由がなければ提案を拒否するなだと!?うるせーよ!」と思っているでしょう。ただ、アドバイザーがどう判断するかも重要ですよ。TAKISAWAの主幹事は大和で単幹です。ニデックが東洋電機製造に敵対的TOB提案をした際は、大和、森濱田松本がアドバイザーでした。大和はニトリ(島忠)やHOYA(ニューフレアテクノロジー)、前田建設工業(前田道路)の敵対案件でアドバイザーをつとめた実績もありますが、さすがに単幹の会社を敵対的に買う案件にはつかないとは思いますが・・・。

私は以下のコラムでこう書いてました。

https://ib-consulting.jp/column/4641/

で、2022年(訂正2023年)はどうなるかというと、私は「敵対的TOBはポツポツと出てくる」と予想します。2023年後半くらいからかなあと考えます。

https://ib-consulting.jp/column/4638/

伊藤忠商事や日本製鉄のような大企業が敵対的TOBを仕掛け成功させています。旧村上ファンドのようなアクティビストも活動しています。これらの事実を永守さんが知らないはずはないと思いますし、「もう一度やってもいいんじゃないか?更なる成長のためにデカイ先を狙うか?」と。そして「あの会社の社長はしっかりしている。買収して次の後継者にしてもいいんじゃないか?」とか(笑) まあ社内で育てていると言っているのでそれはないと思いますが。

やっぱり敵対的TOBが出てくるんですよ。今年の6月総会でアクティビストの行動が活発化したことがすごく話題になりましたが、序の口なんです。本番はこれからなんですよ。

だからやるべきことを今のうちからやらないとダメなんです。

 

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