2022年12月27日

No.1455 今年最後のコラム

以下の日経ビジネスを取り上げたいと思います。今年何かと話題になった日本電産の永守さんです。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00119/00195/?n_cid=nbpnb_mled_enew

日経ビジネスさんの有料記事ですので、以下のみ抜粋させていただきます。

>永守さんは、創業から50年間で逃げ出したくなったことはないんですか。

1回もないですよ。僕は金曜日の晩になったら気持ちが暗くなるんですよ。明日は休みと思うとね(笑)。

仕事をしていたら未来が見えてくるわけですよ。今、こうやって頑張っていたら、会社は次にこうなるぞとかね。それで、今度はあの会社を買収しよう。その次はこういう事業に出ようとか、次々と(経営の)絵図が出てくるわけですよ。そうしたら苦しいとか、かなわんとか思うことなんてあり得ないですよ。

これ、すごくわかるんですよ。まあ、もちろん私の会社は日本電産のような大きな会社ではなく、私一人だけの会社なのでえらそうなことを言えませんし、別に金曜日の夜に気持ちが暗くなるわけでもありません。

ただ、うちの会社は土日に新規の契約のお申し込みやご相談をいただくことはあまりありません。なので土日は新規契約がないのでつまらんな、早く平日が来ないかなあと思うことがあります。

ずいぶん前にBSで永守さんの特集番組を見たのですが、たしか永守さんが長野県諏訪市にある日本電産サンキョーを訪問した際、幹部のみなさんと夕飯をともにするのですが、皆さんお酒を飲んでいるところ、永守さんはノンアルコールビールでした。「あ、永守さん、酒飲まないんだ。オレ、酒大好き・・・」と。まあ、だからと言って酒をやめるつもりはないのですが、永守さんって仕事に集中するために徹底しているんだなあと思った記憶があります。

では本題です。永守さんはかつて敵対的買収をしたことがあります。当時買収提案後、リーマンショック後が起きたせいか、買収提案を撤回したので、敵対的TOBには至りませんでした。

その永守さんが上記記事の中で「それで、今度はあの会社を買収しよう」と言っています。もちろん敵対的買収を意図しての発言ではないと思いますが、永守さんってまだ敵対的買収を考えていると思うのです。根拠はありませんし、過去のターゲットをまた狙うという意味でもありません。ただのカンです。

伊藤忠商事や日本製鉄のような大企業が敵対的TOBを仕掛け成功させています。旧村上ファンドのようなアクティビストも活動しています。これらの事実を永守さんが知らないはずはないと思いますし、「もう一度やってもいいんじゃないか?更なる成長のためにデカイ先を狙うか?」と。そして「あの会社の社長はしっかりしている。買収して次の後継者にしてもいいんじゃないか?」とか(笑) まあ社内で育てていると言っているのでそれはないと思いますが。

これ、永守さんだけじゃないと思いますよ。2022年、敵対的TOBはゼロでした。私は有事型買収防衛策が与えた影響だと思います。でも2023年は変わると思いますよ。理由は来年説明しますが、2023年秋ごろから動きが出てくるのではないかと考えています。

私はこれまで皆さんに、いつ誰に狙われるのかわからないのだから、企業防衛体制をきちんと平時から構築しておくべき、ということを申し上げてきました。でももう守るだけじゃムリなんです。日本の人口はドンドン減っていく中、法人の数がこのまま推移するなんてことはありません。残された時間はあまりないのですから、早めに上場会社は手を打つ必要があり、その1つが、私は敵対的買収だと思っています。

もちろん企業防衛体制をちゃんと整えておくことは重要ではあるものの、攻撃こそ最大の防御と言います。食うか食われるかの時代はもう始まっています。少なくとも敵対的買収を経営戦略の選択肢から外すべきではありません。特に安定株主対策がもうできない水準の時価総額の会社は、企業規模を大きくして狙われないようにするしか本質的な対応策はないのが現実です。

来年は皆さん「あの会社を買収するにはどうすればよいか?」を考えてみてはどうでしょうか?

皆さん、今年も大変お世話になりました。来年も引き続きよろしくお願いいたします。

よいお年を!

なおコラムは最後ですが、何かご相談がありましたらご連絡ください。また、ニュースがあればアップします。

 

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