2023年07月14日

ニデックvsTAKISAWAの当面の動き

現状、TAKISAWAの買収防衛策ルールに則って、ニデックは以下の買付意向表明書をTAKISAWAに提出しています。

https://www.nidec.com/-/media/www-nidec-com/corporate/news/2023/0713-02/230713-02.pdf?rev=6bf7d4f2854f47b08f8d4172f34596fb&sc_lang=ja-JP

で、この意向表明書P11で以下のように書いています。

但し、弊社グループは、昨年1月から3月にかけて、貴社に対して、弊社子会社ニデックドライブテクノロジー株式会社との資本業務提携をご提案させて頂きました。今回は、企業買収行動指針案においても、取締役会が「時間・情報・交渉機会の確保を理由として、買収者に対して延々と情報提供を求めることを可能とするような設計や運用を行うことや、買収提案の検討期間をいたずらに引き延ばす等の恣意的な運用は許容されるべきではない。」と定めているとおり、本書の日付より60日以内に、本提案についての貴社取締役会のご見解の公表をお願いいたします。もちろん、貴社取締役会、特別委員会及び株主が十分に検討できるよう、貴社特別委員会から合理的なご要請がなされた場合には、これを勘案して、合理的な範囲でスケジュールにつき対応を検討いたしますことはやぶさかではありませんが、遅くとも2023年9月中旬までには本公開買付けを開始する予定です。

TAKISAWAは「ふざけんな!勝手にオレたちのルールを捻じ曲げるんじゃねーよ!」って怒ってると思います。ルール上、意向表明書が提出されたら10営業日以内にTAKISAWAはニデックに対して、株主の判断や取締役会の意見形成のために必要な情報のリスト(質問ですね)を交付します。そしてニデックがその質問に対して回答をします。で、その回答内容を見て不足があれば追加質問をします。

ここ、たしかにニデックの指摘の通り、時間かせぎができます。中には質問の回答のやり取りに60日の上限設定をしているケースもあるのですが(そうしないと機関投資家が反対するため)、TAKISAWAはしていません。極端な話「情報・回答が不十分」として永遠に回答を求め続けることもできます。ただ、当然永遠に求められてもニデックは応じられませんから、その場合はルールを破ってTOBを仕掛けることになるのですが、ルールを破った場合、TAKISAWAは買収防衛策を取締役会決議で発動する可能性があります(ルールを破ったら取締役会決議で発動)。そうなるとニデックは発行差止請求をしますので裁判所がどう判断するかです。

ポイントはニデックが言っている60日が十分かどうかですね。TAKISAWAのルール上は、情報提供のやり取りが終わってから、その内容を評価するための取締役会評価期間60日が開始されることなるのですが、ニデックは「情報提供のやり取りと取締役会評価期間をあわせて60日にせーや。それ以上時間稼ごうとしても、オレたちは9月中旬にはTOB仕掛けるよ」と言っているわけです。

で、仮にルールを守った場合でも買収防衛策を発動する可能性もあり、その場合は実務的に株主総会を開催することになりますが、ニデックは「60日後にTOB開始、TOB期間は30営業日にする。だから買収提案の検討をする時間もあるし、仮に発動するための株主総会を開催するなら、TOB期間を30営業日にしているから、60日+30営業日の間で株主総会を開催できるよね?」と言っています。

まあTAKISAWAとアドバイザーは反発するでしょうね。きちんと株主総会にかけて買収防衛策を導入しているのですから、少なくとも情報提供のやり取りの時間をなるべく短くすることには応じるが、取締役会評価期間を含めて60日には応じられない、と主張するかもしれません。

でもニデックは60日後のTOBを強行する可能性もありますね。その場合は裁判になる可能性がありますが、私はそういう守り方よりも、もっと他の案で対抗したらどうかと考えます。もちろん詳しい内容をこの場で開示することはできませんが。

今頃TAKISAWAとアドバイザーは必死に質問を作っているところだと思います。60日って制限されていなかったら、まだ余裕をもって落ち着いて対応できるんですが、時間がないですからねえ。質問作りと60日制限への対応。

会社にそこまでの精神的余裕がありますかね?岡山の会社ですよね?こういったことには慣れてないでしょうし、今の世の中の動きもご存じでしょうか?会社の精神力と体力も考慮した戦い方が求められます。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ