敵対的買収に対する誤解
以下の朝日新聞さんの記事に当方のコメントが掲載されました。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15968059.html?iref=pc_ss_date_article
企業買収に詳しいIBコンサルティングの鈴木賢一郎氏は、「TOBは価格が正義。ブラザーは淡々と価格を引き上げれば良かったが、それをしなかったのは敵対的買収を甘く見ていたと言わざるをえない。ただ、ブラザーが出てこなかったら、既存株主は5035円という安値で経営者に売らないといけなかった。それは経営者による搾取と言われかねない行為だ」と指摘する。
ブラザーさんの敵対的買収=同意なき買収って、どうして成功しなかったのでしょうか?簡単です。覚悟が足りなかったんだと思いますよ。経済産業省の企業買収における行動指針が制定され「真摯な買収提案には真摯な検討をしなくてはならない」とあるせいか、何かと言うと買収者が「真摯に検討しろ!」「指針を踏まえた対応をしろ!」的なことを言いますが、まあそりゃそうしますよ。ただね、買収者に聞きたいのは「おたく、一昔前なら乗っ取りって言われることをやっている自覚、持ってます?」ということです。
乗っ取りが敵対的買収になり、経済産業省がお膳立てして今では「同意なき買収」という非常に品のよいお言葉になりました。しかし、その行為自体は敵対的買収であり、乗っ取りなのです。同意なき買収と言うのはまぎれもなく、相手方の取締役会に事前相談なく、突然襲い掛かる乗っ取り行為なのです。
もちろん私は「乗っ取りなんてやめるべきだ!」などというあまっちょろいことを言うつもりは1ミリもありません。上場会社はすべて「自社がいつか敵対的に買収されるかもしれない」という「適度な」危機感をもって経営にあたるべきだと考えています。※「適度な」ってところが重要なんですけどね。
しかし一方で買収者側は「自分たちがこれからやろうとしていることは乗っ取り行為なのであり、それを自覚して覚悟をもってやるべきだ」という強い思いを持つべきです。これから相手をカネでねじ伏せようとするのですから、それなりの覚悟が必要です。当然、相手は死に物狂いで抵抗するだろうと予測し、適切な準備も必要です。そういう覚悟や準備もなく襲い掛かるのは、はっきり言って世間知らずだし、相手に対して相当失礼なんですよ。やるならちゃんとやれ!って話です。
世間一般はかなり誤解していると思いますが、これまで日本で敵対的買収が成功しなかったのってなぜだと思いますか?対象会社が抵抗したから?違いますよ。
なぜ成功しなかったかと言えば「買収者に絶対成功させてやるという気合と根性と覚悟が足りなかったから」です。敵対的買収って、絶対に成功するんですよ。成功するまで買収者が実行すれば、です。大戸屋を敵対的に買収したコロワイドの社長も同じようなことをおっしゃってました。たしか「私たちは成功するまでやります。株主提案が失敗しても次の策を実行します。1つ負けても次があります。でも大戸屋さんは1つでも負けたら終わりです」という内容です。
そういうことです。これまで敵対的買収が成功しなかったのは、買収者に気合と根性と覚悟がなかったからですよ。なお、最後に一言。「指針があるから買収提案を受け入れざるを得ない」という情けないことを言っていた経営者がどこかにいましたが、それも大きな間違いです。
買収対象になった会社も気合と根性と覚悟があれば、敵対的買収など粉砕できます。もちろん敵対的買収を仕掛けられないよう、平時からちゃんと対応しておくことが大切です。そういうサポートをするのが当社です。
