2019年07月09日

まずは持ち合い解消が最優先

2019.7.7の日経ヴェリタスにあった「広木隆のWalk in the Market」です。記事には、

先日、あるフォーラムで某上場企業の社長の公演を聞いた。その社長は自社の株価低迷に不満を表明した上で、こう述べた。「国内の機関投資家はパッシブばかり。これだから海外のヘッジファンドなど短期筋に翻弄される。こういう状況下では企業は互いに株式の持ち合いをして自社の株価を自衛するしかない」。唖然(あぜん)とした。こんなことを臆面もなく公言する経営者がいるとは!持ち合い解消を進めなくてはならない。どうしたらいいか真剣に考えている。みなさんも良い案が浮かんだら、マネックス証券広木までご意見をお寄せください。

とあります。こんなことをおっしゃった経営者が本当にいたのかどうか疑問ではありますが、本当におっしゃったのだとしたら持ち合いに対する認識が間違っていますね。

持ち合いは株価を自衛するための策ではありません。会社を守るための策です。古くから総会屋、仕手筋といったよからぬ投資家から会社を守るために編み出された策です。経営者の保身のための策ではありません。もちろん経営者の保身に使おうと思えば使えますが、私の知る経営者で保身のために持ち合いをしている人はいません。

まっとうな機関投資家対策で持ち合いをやっている訳ではありません。何が目的かよくわからない、短期的な株価上昇のために他のステークホルダーの中長期的な利益をないがしろにされるかもしれない、自分のことしか考えていない、そのようなよからぬ投資家対策のためにやっているのが持ち合いです。

かつては海外企業からの買収阻止のために持ち合いをやっていたこともあったでしょうが、今は違います。持ち合いだけで買収を阻止することはできません。だって、持ち合いで過半数の安定株主を確保できている会社なんてないでしょ?持ち合いによる安定株主など、たかがしれています。日本企業の安定株主で持ち合いによっている部分はかなり少ないのです。

良い案が浮かんだので意見を書いておきます。持ち合いを解消を進めるための良い案は、日本企業に買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型ルールの導入を認めてあげること、取締役会の過半数を社外取締役で構成している企業に対する株主提案については株主総会で可決されたとしても取締役会の判断で実施するかどうか決められることとすること。などなどです。これらを認めてあげれば、持ち合いはもっと減ると思います。

 

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