2019年07月12日

想定以上のスピードで変化していると思います

今年に入って伊藤忠商事がデサントに敵対的TOBを仕掛け、成功させました。

村上ファンドに株式を取得されていた新明和工業が大規模自己株TOBを実施しました。

村上ファンドに株式を取得されていたマクセルHDが大規模特別配当を実施しました。

MBOをしようとしていた廣済堂の株式を村上ファンドが取得し、カウンターTOBを仕掛けた結果、廣済堂のMBOは失敗に終わりました。

LIXILの株主総会では、株主提案が可決され、瀬戸氏側が勝利しました。

株主総会における役員選任議案の賛成率が低い企業が数多く見られました。

そしてHISがユニゾHDに敵対的TOBを仕掛けました。大手企業による敵対的TOBは今年に入って2件目です。明らかに10年前の村上ファンド騒動やスティール・パートナーズ騒動を超える動きになっています。私が想定していたよりも、ものすごいスピードで上場会社を取り巻く環境が変化しています。

でも多くの会社は、買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型ルールを「株主総会で否決されたらみっともないから」という理由で自主的に廃止しています。こんなに日本の上場会社を取り巻く環境が厳しくなってきているのに、本当に自社に対して敵対的TOBを実施されるかもしれないのに、です。

買収防衛策を再導入した会社が出てきました。私は当たり前の流れだと思っています。そもそも日本の会社が導入しているのは買収防衛策ではなく、買収提案に関する情報と検討するための時間を提供してほしいと要請しているルールに過ぎません。ほとんどの人が経験したことのない敵対的TOBに対応するに当たって、誰でも情報と時間を必要とするでしょう?

もう一度、買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型ルールを再検討すべき時期に来たと私は考えます。次のターゲットは貴社かもしれないのですから。安定株主という他人任せの企業防衛体制、危機管理体制はそろそろ終焉を迎えます。新たな厳しい時代を乗り越えるためには、新たな企業防衛体制、危機管理体制を整備しなくてはならないのは当たり前の話です。

 

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