2020年01月17日

ますます真剣に敵対的TOB対応を考えなくてはならない時代になったということです

ちょうど1年前に伊藤忠商事がデサントに対して敵対的TOBを仕掛け成功しました。そしてエイチ・アイ・エスがユニゾHDに対して敵対的TOBを仕掛けました。エイチ・アイ・エスの提案は失敗に終わったものの、BtoCの会社であるエイチ・アイ・エスが世間から「敵対的TOBを仕掛けた!」「乗っ取りだ!」と批判され、企業イメージが悪化するおそれがあったにもかかわらず、勇気をもって敵対的TOBを仕掛けたことは称賛に値します。

そしてコクヨが未上場会社であるぺんてるに敵対的買収を仕掛けました。年末になりもう何も起きないだろうというタイミングで、東芝が完全子会社化を目的にTOBをかけていたニューフレアテクノロジーに対してHOYAが敵対的TOB提案を仕掛けました。

今日の日経3面の記事に当社のコメントが掲載されています。「敵対的買収は一般化しつつあり、企業統治に詳しいIBコンサルティングの鈴木賢一郎氏は『企業経営者は企業価値向上や買収提案時の対応を真剣に考えなければいけない時代になった』と指摘する。」という内容です。

明日貴社に対する敵対的TOBが公表される可能性があります。今日、アクティビスト・ファンドが貴社の大量保有報告書を提出する可能性があります。上場している以上、全社にそういったリスクがあるのです。「上場廃止したほうがいいってことか?」 いえ、上場すべきです。上場廃止なんてことは考えてはいけません。上場して、全ステークホルダーや社会に利益を還元することが株式会社の役目です。会社は社会の公器なのですから。

しかし上場している以上、今の世の中ではいろんなリスクがあります。本当に敵対的TOBが仕掛けられるリスクが上場会社全社に等しくあるのです。「うちは大丈夫だろ?」と考えている会社こそがターゲットになり、そして経営の独立性が失われるのです。

敵対的買収対応やアクティビスト対策を考えることは、けっして後ろ向きなことではありません。対策を考えるに当たっては、必ず企業価値向上策を考えます。どうやったら敵対的TOBやアクティビストのターゲットにならないのか?企業価値を向上させ、会社の独立性、従業員の幸せ、取引先の利益、社会貢献、株主価値をどうやって守り向上させるのか?

敵対的買収やアクティビスト対応は会社の危機管理の一つです。常に経営課題の一つです。常に考え、議論しなくてはなりません。

 

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