2020年01月22日

東芝機械の工夫

村上ファンドに対して新株予約権の無償割当という対抗措置の発動を検討している東芝機械ですが、その工夫について解説します。

かつてブルドックソースがスティール・パートナーズのTOBに対して同様の新株予約権の無償割当で対抗しましたが、その際は株主総会の特別決議をとり、かつ、スティール・パートナーズに経済的損害が発生しないよう、希釈化する分を現金で保証しました。しかし最近では、いわゆる「金員交付」については否定的です。企業価値研究会の報告書でも以下の通り言及されています。

買収防衛策の発動に当たって、買収者に対して金員等の交付を行うことについては、かえって買収防衛策の発動を誘発し、結果として、買収の是非を適切に判断するために必要な時間・情報や交渉機会が確保された上で、株式を買収者に売却する機会を株主から喪失させるため、健全な資本市場の育成の妨げとなるという問題がある。したがって、買収者に対する金員等の交付を行うべきではない。

https://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g80630a01j.pdf

今回東芝機械が対抗措置を発動しても金員交付はしないようです。ではどういう工夫をするかというと以下のとおりです。P16あたりに書いてあります。

https://www.toshiba-machine.co.jp/documents/jp/ir/library/kohyo/2020/20200117_1_1.pdf

東芝機械さんのPDFがコピペできないので、該当箇所を貼り付けます。ようは、持ち株を処分したら、該当する分だけ新株予約権を行使させてあげる、でも保有割合が20%を下回る範囲でね、ということです。詳しくはこちらのニュースでまとめています。東芝機械が再導入した買収防衛策、ではなく、対応方針について

これって、既存の買収防衛策でも取られている仕組みです。さほど特筆すべきものではありません。もう一つの工夫の方が新しいですね。見たことないです。

10年保有したら金銭を対価にして新株予約権を買い取ってあげるよ、という仕組みです。今金員交付したら批判されるから、10年持ったら長期保有したということで買い取ってあげます、というものですかね。

いろいろと発行差止対応のために工夫しているようですね。

 

 

 

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