2020年02月18日

日本企業、株主中心から脱却を

今日の日経25面「私見卓見」に日本企業、株主中心から脱却を 渡辺宏之氏という記事があります。

「誰のための稼ぐ力か」という問いかけが重要である。「株主は会社(財産)の所有者」であるという考え方が近年、世界中に流布されてきた。しかし、こうした法規定は米国の会社法にも存在しない。そもそも会社財産は法人に帰属するため、「株主は会社財産の所有者」という考え方は法律論として成り立たない。株主イコール会社財産の所有者という誤った前提に基づく、株主の立場に偏重した稼ぐ力という考え方、費用・便益(効率性)分析に終始する会社法の理論から、脱却していかなければならないだろう。

なるほど~と思いながら拝見しました。私も常日頃から「会社は株主のモノではない」「そもそも会社はモノではない」と言い続けています。言い続けていますが、一方で株主も「会社は株主のモノである」と言い続けています。

言うだけならいいのですが、大量の株式を取得し、ときに経営者に圧力を加えたり(悪い意味で言っているのではありません)、株主提案をしたり、敵対的TOBをしかけてきたりします。言うだけではなく、実力行使に出てくることがあります。我々が「会社は株主のモノではない」「モノではない」「少なくとも株主だけのモノではない」と言い続けても、実力行使にはかなわない場面もあります。

最近、株主至上主義からの脱却というお話をよく耳にしますが、だからといって日本の経営者は「おお!世の中の議論がいい方向になってきたなあ!会社は株主のモノじゃないんだ!」と考えてはダメです。そう考えると、油断が生じます。会社はモノではないし、少なくとも株主だけのモノではありません。が、株主は重要なステークホルダーの一員であることは間違いありません。

残念ながら、日本の経営者はこれまえ株主利益を軽視してきたことは間違いありません。「増資で得た資金は返さなくてもいい資金」と考えていた経営者やそうアドバイスしてきた証券会社が存在しましたから。株主は重要なステークホルダーの一員ですから、会社の利益配分において重要視すべき存在です。

株主至上主義から脱却するためには、株主に対する利益配分をきちんと考え直すべきだと思われます。株主に対する利益配分をきちんと行っている会社は、事前警告型買収防衛策を導入することも株主は許してくれるのではないでしょうか?(笑)

 

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