2020年02月26日

東芝機械、総会まで1カ月 機関投資家の深き悩み

日経電子版に東芝機械、総会まで1カ月 機関投資家の深き悩みという記事がありました。ちょっと抜粋しながらコメントします。

「正直ギリギリかもしれない。機関投資家を回って説明し、納得してもらわねば」。東芝機械幹部は焦りの色を隠さない。

機関投資家を回って説明してもしんどいのではないでしょうか?平時の事前警告型買収防衛策ですら反対する時代なのに、ましてや有事導入・対抗措置発動に賛成してくれる機関投資家は存在しないのではないでしょうか?回るとしても人海戦術で個人投資家を回ったほうがよいように思います。

総会を巡っては3つのシナリオが取り沙汰されている。ひとつは防衛策を3分の2以上の賛成で可決するケース。3分の2は経営にとって重要な案件を決める特別決議の要件に相当する。この場合は村上氏側がTOBで株式を買い集めても、防衛策の発動で株保有比率が大幅に低下して影響力は薄まる。また、TOBを撤回する可能性もある。いっぽう、防衛策が否決されれば東芝機械は防衛策を発動せず、TOBによって村上氏側の影響力が高まる。

結果的に3分の2以上の賛成が取れたとして「特別決議を取った!」とは言えませんよね?結果的には多数の株主の賛同を得たのかもしれませんけど。ただ、ブルドックソースのときは、多数の株主の賛同を得たことが評価されていますので、結果的に特別決議を取れるほどの賛成票が集まるというのは効果的なんでしょうね。ただ、結果的に特別決議に相当する賛同が得られたとしても、村上さんたちは発行差止請求をするのではないでしょうか?結果的に特別決議を取ったとしても普通決議には違いありませんし、そもそも今回の対抗措置発動においては金員保証がありません。一応ありますけど、10年持ったら新株予約権をその時の時価で買い取るとか、保有株を売ったら20%を下回る範囲で新株予約権を行使してよいとか、村上さんたちに経済的損害が発生するおそれのある発動ですから、ブルドックソースとは違いますよね?まあ、経済的損害をどう捉えるかにもよりけりかもしれません。

防衛策を半数以上3分の2未満の賛成で可決する場合はやや複雑だ。村上氏側は議案が可決する要件を「3分の2以上」と主張しており、防衛策の差し止め請求に動く可能性がある。結論は法廷の場に持ち越されることになる。

過半数だろうが結果的に特別決議に相当する賛成だろうが、村上さんたちは差止請求をすると思うのですが。

東芝機械の株主構成をみると、昨年9月時点(自社株を除く)で外国法人が32%、国内の金融機関が27%、個人などが24%となっている。かつての大株主だった東芝は大半を売却し、3%弱にまで低下。従業員持ち株会や取引先持ち株会は2%にとどまり、安定株主は少ない。市場では個人投資家について、村上氏側が主張する多額の配当などへの期待を加味して考えると「多くはTOBに応じるのでは」との見方がある。半面、個人の一定数は判断材料が複雑な総会での議決権行使をしない可能性があるとみられている。

なるほど、9月末の所有者別状況はそうなっているんですね。外国人投資家が32%ですか・・・。全員が行使する訳ではないでしょうが、結果的に特別決議に相当する賛成を得るのは難しいでしょうね。加えて国内の機関投資家もある程度いるんでしょうから、普通決議も大丈夫なのでしょうか?個人に議決権行使をされないと、ますます厳しいですね。やはり国内機関投資家訪問をするよりも国内個人投資家全員を当たった方がいいのではないかと思います。

あと、トヨタ自動車や東芝と言った取引先?安定株主?も本当に東芝機械を支持できるのでしょうか?東芝は自社のアクティビスト株主から問われた場合、どう回答するのでしょうか?日本を代表するトヨタ自動車に対抗措置発動議案に賛成させるのでしょうか?けっこう厳しいと思いますよ。取引先、持ち合い先の議決権行使にまで厳しい目が向けられる時代ですから。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ