2020年04月15日

非常に残念だった前田道路

日経ビジネスに以下の記事が掲載されています。

焦土作戦に成功した前田道路、経営陣の運命は

前田建設工業の敵対的TOB(株式公開買い付け)で子会社となった前田道路が14日、東京都内で臨時株主総会を開き、535億円の特別配当を実施する議案を可決した。TOB終了前の議決権ベースで開かれた総会のため、前田道路側の提案が通った。豊富な現預金を前田建設に使われるくらいなら、大部分を株主に還元しようとしたともとれる「焦土作戦」は一応、成功したことになる。

もちろんこの記事を書いた貴社の方もわかって書いているんでしょうけど、この作戦は作戦になっていないんですよね。この前田道路の特別配当による対抗策をみたほとんどの弁護士は「なんでこんな意味のないことを?」と思ったらしいです。

何度も言ってますが、特別配当を実施したところで、TOBの撤回事由にはなりますが、いったんTOBを撤回して再度仕掛けなおせばいいだけなんです。だから専門家は「なんでこんなことを前田道路のアドバイザーは前田道路にやらせたんだろうか?」と不思議に思うのです。

今回前田道路が前田建設に勝つためには、パックマン(プラス既存株主に迷惑をかけない策)をやるしかなかったんです。ただし、パックマンを成功させるためにはいくつかハードルがありました。1つは前田建設が買収防衛策を導入していることです。しかしこれはクリアできます。戦略は以下のとおりです。

No.751 前田道路はパックマンで勝てる!~前田建設工業の買収防衛策の攻略方法~

No.775 前田道路はパックマンを「主軸」にして対応すればよかったと思います

もう1つは、前田道路が前田建設の株を買うにしても、市場で買ったら株価が跳ね上がってしまい、いくらかかるかわからない、または、TOBで買おうとしても前田建設の方が先にTOBをしているから、前田道路が前田建設にTOBを仕掛けても終了前に51%買われてしまうかもしれないし、そっこうで臨時株主総会を開催されたら役員を入れ替えられてしまうリスクです。

これもクリアできる戦略があります。これは内緒です。

どうしてこんな意味のない戦略を三井住友信託銀行と長嶋大野常松がアドバイスしてしまったのでしょうか?そしてなぜ前田道路の経営陣が乗っかってしまったのでしょうか?

こういうことにならないよう、平時のうちから企業防衛についてちゃんと事例を検証し、準備をしておかないといけません。

 

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