2020年07月28日

議決権行使が企業統治の根幹と言うのなら

今日の日経7面の助言会社に関する記事ですが、記事の最後の方に以下の記述があります。

米、総会の議決助言会社規制 企業歓迎、投資家は懸念 経営の判断しやすく/反対意見提出二の足

規制で対応する米国と異なり、指針に法的拘束力はない。ただし、順守しない場合には理由の説明が求められる。企業統治に詳しい野村資本市場研究所の西山賢吾氏は「議決権行使は企業統治の根幹であり、助言会社を抑圧しすぎない方向性を模索すべきだ」と話す。

さきほど米、総会の議決権行使助言 規制でも触れましたが、議決権行使が企業統治の根幹と言うのなら、その大切な議決権行使を議決権行使助言会社の助言に頼っているということが大いに矛盾するのです。企業統治の根幹である議決権行使をなぜ外部の業者に依存するのか?

助言会社を抑圧すべきではないという意見もおかしいですね。今回の米国の規制は「助言会社が議案への賛否推奨を顧客投資家に提供する際、対象企業にも同時に送ることを義務付け」「企業が推奨内容に意見を出した場合は、顧客に伝えることを求める」といった内容のようであり、これのどこが「抑圧」なのでしょうか?

助言会社の助言内容が正しいのかどうか、対象会社はどう考えているのかを明らかにするものであり、当然、助言会社は対象会社が異なる意見をもっているのであれば、それを顧客である機関投資家に知らしめるのは当然のことでしょう。

この程度の規制は抑圧でもなんでもありません。当たり前のことです。機関投資家の本音はここですよ。

一方、投資家側は危機感を募らせる。米公的年金などが参加する業界団体、米機関投資家評議会は声明で「議決権行使の遅れや、コスト上昇を招く」と不満を表明した。助言会社の法令順守コストが上昇し、推奨リポートの販売価格も上がるとみているからだ。

本来機関投資家は議決権行使なんてしたくないんですよ。ただのコストですから。でもしなくちゃいけない。だからなるべくカネをかけずにしたい。これが機関投資家の議決権行使に対する本音ですよ。

機関投資家はもう議決権行使なんて、白紙でしたらどうですか?そもそも役員選任議案に数値基準を設けること自体おかしなことなんですよ。「ROEが●%未満だから社長に反対~!」なんておかしいでしょ?会社、業界特有の事情があるんだから、一律にROE基準を役員選任議案に設けることがおかしいのです。

役員選任議案なんて、よっぽどのことがない限り〇でいいんですよ。そもそも総会議案は基本すべて〇でいいんです。買収防衛策とか株主提案とか、賛否のわかれる議案だけ真剣に検討すればいいんです。

議決権行使助言会社という存在自体がおかしいのです。自分たちの投資先の議案くらい自分たちで精査したらどうですか?

 

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