2021年03月24日

日本アジアグループはルール違反などを理由に発動できるのでしょうか?

日本アジアグループは旧村上ファンドの株式取得に対して、有事導入型の買収防衛策のルール違反だからなどを理由に取締役会決議で発動しようとしています。まず、本当に有事導入型の買収防衛策が機能するのかという点がポイントになりそうです。

今回旧村上ファンドは、600円という価格でMBOを実施しようとしていた日本アジアグループ側に対して、価格が安すぎると考えて株式を買い増しました。すると日本アジアグループ側がTOB価格を1,200円という当初の価格の倍に引き上げました。旧村上ファンドは1,210円でカウンターTOBをかけ、日本アジアグループ側はTOBに失敗すると今度は特別配当で対抗しました。そして旧村上ファンドはTOBを撤回し、市場で株式を取得し始めました。

日本アジアグループは旧村上ファンドが買い増してくるであろうことを想定し、有事導入型の買収防衛策を公表しました。トリガーは20.5%です。ただ、日本アジアグループが有事導入型の買収防衛策を公表した時点で旧村上ファンドの保有割合は20.5%を超えていました。しかし有事導入型の買収防衛策の公表後も旧村上ファンドは株式を取得し続け、藍澤證券からも取得し、結果、保有割合は今のところ約30%となりました。

旧村上ファンドは日本アジアグループの30%の株式を保有する筆頭株主です。そして今回藍澤證券が旧村上ファンドに株式を売却しましたが、藍澤證券はまだ日本アジアグループの株式を7.52%保有しています。藍澤證券が旧村上ファンドに株式を910円で約4.9%を売却したのですが、4.9%に留めたのは旧村上ファンドの意向ではないかと考えます(急速な買付けにならないようにするため)。

藍澤證券は910円で一部の株式を売却したのですが、本当は910円ですべての株式を売却したい=旧村上ファンドにTOBをかけてもらいたい、と考えているのかもしれません。そうなると、旧村上ファンドと藍澤證券の保有分を足した約38%が買収防衛策発動に反対していると考えてもよいかもしれません。

もし株主総会を開催して買収防衛策の発動議案をかけたら、これ、否決される可能性が高いと思われます。

突如として導入された有事導入型の買収防衛策を裁判所がどう判断するのか、現時点で株主総会を開催したら旧村上ファンをはじめとした多くの株主が反対する可能性が高い中、取締役会決議で発動してよいのか、などなどいろいろな論点がありそうです。

 

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