2022年04月25日

2022年はここまで敵対的TOBゼロ

以下の記事です。そりゃあ、これだけ有事型買収防衛策を発動したらゼロになるでしょうね(笑)

https://maonline.jp/articles/tob_front_peace_2022

2022年のTOB(株式公開買い付け)は波乱含みだった前年と打って変わり、平穏に推移している。4月も後半に入り、早くも1年の3分の1を迎えようとしているが、敵対的TOBはゼロのまま。2021年は4月までに5件、2020年も3件の敵対的TOBが発生していたのに比べて様変わりだ。

最近では「平時型は評判が悪い。有事型にした方がよい」と言うアドバイザーもいるそうです。このアドバイザーの本音は「平時型なんかで防御されるより、有事になった方がオレたち儲かるぜ!ウヒヒヒー」だと思います。

でも皆さん、有事型の発動ばかりやっていると本質的な過ちを見逃しますよ。そもそもアドバイザーの皆さんは「敵対的TOBが増えたほうが、オレたち儲かるぜい!」と思ってるんですよね?

だとしたら、有事型のアドバイスは控えたほうがいいですよ。少なくともまっとうな事業会社による敵対的TOBに対して有事型で対抗するのは控えたほうがよいでしょう。そんなことばかりしていたら、まっとうな買収者が敵対的TOBをするのに躊躇します。「仕掛けたら有事型で対抗されるよなあ」と。濫用的な買収者に対して有事型で対抗するのはよいと思いますが、例えば新生銀行に対して敵対的TOBを仕掛けたSBIのような買収者に有事型で対抗するのは、私は間違っていると思っています。まっとうな買収提案を、はっきり言ってたいした覚悟もなく阻止しようとするのは間違っています。このようなことをしていては、日本でまともな敵対的TOBが起きなくなります。

ただ、これも間違っているんですけどね。有事型で対抗されたとしても、この記事の最後に記載した方法であれば勝てると思います。もちろん100%勝てるという保証はできませんし、そのような方法はこの世にありません。

私は信念をもって「このような買収者に会社を支配されるべきではない」と経営者が考えるのであれば、有事型で対抗してもよいと思います。ただ、有事型で対抗した場合は高値で売却できる機会を株主から奪うことになりますから、きちんと株価を買収価格以上に上げる責任と覚悟を負うと経営者が認識しなくてはなりません。当然、相手が濫用的な買収者の場合は別ですが。

私は、まっとうな買収提案であれば敵対的であっても増えたほうがよいと考えています。しかしまっとうな買収提案とは何なのか?を仕掛ける側も真剣に考えたほうがよいです。仕掛ける側も覚悟を持たなくてはなりません。なにせ敵対的TOBを仕掛けるのですから、相手は死ぬ気で抵抗しますよ。買収者が「市場株価にこれだけのプレミアムを付けたのだから、株主利益のために反対するのはいかがなものか」などと言っても、必死に抵抗します。

そのような対象者側の死ぬ気の抵抗を予想することなく、単にプレミアムを付ければ成功するだろうと安易に考えて敵対的TOBなどしてはいけません。敵対的TOBを仕掛けることは、対象者のプライドをズタズタにする行為です。そのような行為を成功させるためには、買収者側の覚悟が最も重要なのです。

「最近はマスコミも批判しないから仕掛けて失敗しても問題ないだろ?」などと安易に考えてはいけません。そのうちしっぺ返しを食らいます。対象者は買収者のことを「絶対に許さん」と考えるでしょうし、いつか仕返しをされる可能性もあります。敵対的TOBを仕掛けるということは、それくらい恐ろしいことをやるんだと認識していただく必要があります。

これからの時代、覚悟がないと独立した上場会社として生き残っていけないと思いますよ。

覚悟ができた対象者は以下の方法で守ればよいです。

No.1175 最近のアクティビスト対策は押し付け合いになっていませんか?だからこそこういった抜本的対抗策が必要です。

覚悟ができた買収者は以下の方法で攻めればよいです。

No.1297 ツイッターのケースを見て思いついたアイデア~有事型買収防衛策にはこうやって対抗する~

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