2022年04月27日

エーザイが買収防衛策を廃止

エーザイが買収防衛策の廃止を公表しました。エーザイは買収防衛策を株主総会決議ではなく取締役会決議で導入・継続している数少ない会社でした。廃止理由は以下のとおりです。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120220427529558.pdf

本対応方針は、2021年6月18日開催の取締役会においてその継続が決定されたものであるところ、現時点においても、当社のビジネス環境や業界動向より、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある買収リスクが低下したとは認められず、当社の主要なステークホルダーズの共同の利益や長期的な価値を増大させるという当社の企業理念に基づき、リスクに対する十分な備えを取締役会として行うことは引き続き必要であると考えております

他方で、近時の裁判例を踏まえると、本対応方針のような施策をあらかじめ講じておく必要性は低下しています。したがって、実際に当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある買収者や買付者が現れた場合に、ステークホルダーズと対話をしながら、関連する法令の許容する範囲内において、当社の企業価値・株主共同の利益を確保するために、その時点において採用可能な適切と考えられるあらゆる施策(いわゆる買収防衛策を含む)を講じることが妥当であると考えております。

エーザイは「買収者が現れた場合に、買収防衛策を含むあらゆる策を講じる」と言っています。平時型買収防衛策をやめて有事型に切り替えまっせ、ということです。つまり事前警告型買収防衛策を事前警告型有事型買収防衛策に変えたということです。

昨今の裁判例を考えると、わざわざ株主総会で否決されるリスクのある平時型買収防衛策を継続するのではなく、有事型でよいではないか。エーザイの場合は株主総会にかけていないですから、わざわざ経営トップの選任議案が否決されるリスクを負ってまで平時型にこだわる必要はないだろうと考えたのかもしれません。

昨年のエーザイの内藤CEOの賛成率は67.27%です。

2021年6月臨時報告書

株主総会での買収防衛策の賛成率が低かった会社は有事型に流れるかもしれませんね。ただ、私はきちんと平時から買収防衛策を導入し、その内容をきちんと「投資家」に開示しておくことが望ましいと考えます。

そもそも平時型だろうが有事型だろうが有事になったら同じような手続きを踏むわけですが、事前にその内容をきちんと公表しておく平時型には反対で、有事になったら突如として導入される有事型の方が好ましいという理由が私にはさっぱり理解できませんが。。。

 

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