2022年06月24日

有事型買収防衛策を撤回した東洋建設の株価は?

以下のとおり、株主総会前日の昨日に有事型買収防衛策導入議案の撤回を公表した東洋建設ですが、本日の株価はどうなったのでしょうか?

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120220623585789.pdf

東洋建設は以下のプレスでこのような主張をしていました。

https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/06/convocation_notice_20220602.pdf

本対応方針は、大規模買付行為等が行われる具体的かつ切迫した懸念への対応を主た る目的として導入されるものであり、平時に導入されるいわゆる買収防衛策とは異なるものです。即ち、本対応方針は、当社の中長期的な企業価値ないし株主の皆様共同の利益を最大化するための、いわば「対等な交渉力確保目的スキーム」であって、買収防衛を目的とした一般的 な「買収防衛」策ではございません。

以下は当コラムでの反論です。東洋建設が導入しようとしていたのが買収防衛策であり、平時型のほうこそ買収防衛策ではないのです。これは無料で閲覧可能です。

No.1333 東洋建設さん、ここのロジックがおかしいからYFOに買収防衛策だ!って言われちゃうんですよ

以下、本日のコラムです。こっちは有料です。

No.1336 週刊ダイヤモンドの太田先生のご意見には違和感があります

で、本日の東洋建設の株価はどうなったかと言うと、6月23日終値804円に対して、始値841円、安値838円、高値880円、終値870円です。終値ベースだと前日比で8.21%も高いです。今日はマーケット全体も高かったですが、その伸び率も大きく上回りました。

はい、マーケットは東洋建設の有事型買収防衛策を「買収を阻止するための買収防衛策」と見なしていたのです。それが撤回されたから、株価が大きく上がったのです。なお、以下の週刊ダイヤモンドの記事で太田先生はこのようにおっしゃっています。

――しかし、買収防衛策を導入した企業は株価が下がるという因果関係もあるかと思います。買収防衛策は、結果として企業価値を損ねることになるのではないでしょうか。

それは俗説で、買収防衛策を入れようが入れまいが、株価への影響はないという実証研究がある。少し不思議に思うかもしれないけれども、投資家は会社の成長を見ているのであって、買収防衛策はあまり見ていないということだろう。

これは平時型のことをおっしゃっているのだと思いますが、私が何度も当HPで発信しているとおり、平時型買収防衛策の導入・継続は株価に影響を与えない、与えるかどうか分析するのは不可能(同時に決算発表などもしているから)なのです。株価に影響を与えるのは有事型のほうです。

東洋建設は有事型買収防衛策を撤回したとたん、株価が大きく上がりました。みんな東洋建設の有事型買収防衛策を「買収を阻止るための買収防衛策」と考えているということですよ。そして平時型買収防衛策の導入・継続が株価に影響を与えないということは、みんな平時型買収防衛策のことを買収防衛策と見なしていないということですよ。

そういうことなんです。

 

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