2023年01月10日

久しぶりの敵対的TOB!

ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド(NAVF)がT&K TOKA(コード4636)に対して敵対的TOBを実施しました。

https://www.tk-toka.co.jp/ir/detail/files/2023011001.pdf

公開買付届出書はこちらをクリック

2022年9月26日にNAVFが提出した変更報告書(訂正報告書)によると、T&K TOKA株式の21.27%を保有しているのですが、内訳はNAVF1.86%、ダルトン・インベストメンツ・エルエルシー18.85%、マイケル・ワン・サウザンド・ナイン・ハンドレッド・トゥエンティ・ファイブ・エルエルシー0.56%となっています。大半はダルトンですね。

今回の公開買付者らのグループは以下のとおりです。公開買付届出書より。

今回のTOBの目的は「公開買付者グループが所有割合、すなわち影響力を高めた上での更なるエンゲージメント活動が必要であると考えたところ、40.00%以上の所有割合となれば、対象者の直近の定時株主総会における議決権行使比率である77.56%に鑑みれば、下記の通り公開買付者グループは対象者に役員派遣を行い経営権を取得する意図はないものの、株主総会において過半の議決権を有する状況に近くなり、エンゲージメント活動における相当の影響力を有し、対象者経営陣における経営の緊張感を高め、キャピタルアロケーションの改善の実現可能性を高めることができると考えた」のだそうです。

2022年9月12日付で1,300円でのMBOの提案もしていたようです。紆余曲折があって(会社が要請した情報が十分になかったことなどを理由に会社が面談を拒んだようですね)、MBO提案をいったん撤回したようです。

そして11月6日からT&K TOKAの賛同がない状態でのTOBの検討を始めたようです。LAは日比谷中田法律事務所、FAは三田証券です。

今回のTOBですが、条件は以下のとおりです。

TOB価格:1,300円 ※1月5日の終値1,178円に10.36%、1か月終値平均1,100円に18.18%、3か月終値平均997円に30.39%、6か月961円に35.28%のプレミアム。

買付予定数の上限:4,911,564株(所有割合にして21.72%。既所有割合22.28%に加えると44%)

買付予定数の下限:4,007,064株(所有割合にして17.72%。既所有割合22.28%に加えると40%)

TOB期間:2023年1月10日(火)~2月20日(月)

ここからの流れですが、10営業日以内にT&K TOKAが意見表明報告書を提出します。そしてそこではTOBに対する意見を「留保」し、質問権を行使します。もちろん「反対じゃー!」ということもありますが、質問もせずに反対してしまうと「敵対的TOBだからといって内容に対して質問もせずに反対するのか?保身じゃないか?」と言われるので、普通はします。

T&K TOKAが質問権を行使した場合、5営業日以内に買収者が対質問回答報告書を提出します。そしてその内容をみてT&K TOKAが「反対」「賛成」の意見を表明します。これがオーソドックスな流れです。

ただ、今回は部分的買収なので、T&K TOKAが有事型買収防衛策の発動を対抗策として実施してくる可能性はあります。外部から見た安定株主比率は23.17%です。個人株主比率も高いので発動議案が可決できる可能性はあります。

ただこのT&K TOKAって会社、過去、退任監査役に対する退職慰労金議案が48.38%の賛成率しか取れず、否決されたことがあります。

https://ib-consulting.jp/column/608/

こういう会社ですから、ダルトンや買付者らが「過去、普通決議の議案が否決された会社。我々が22%も持っている状況で有事型買収防衛策の発動議案を可決できるわけがない」と考えた可能性がありますね。

 

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