2019年04月20日

買収防衛策を導入している会社は「企業価値向上に取り組む姿勢が乏しい企業」なのでしょうか?

ニュースを連投しています。日経14面「出遅れる買収防衛銘柄」については徹底的に糾弾します。

買収防衛銘柄に対する市場の評価は厳しい。導入企業の株価を合成して指数化すると、17年末比で15%下落とこの間ほぼ横ばいの日経平均に1割以上負けている。「企業価値向上に取り組む姿勢が乏しい企業と受け止められている」(国内機関投資家)ためだ。年初来上昇率も日経平均の11%に対して買収防衛銘柄は7%どまりだ。

買収防衛策を導入している企業は企業価値向上に取り組む姿勢が乏しい企業と受け止められているんだそうです。この投資家、たぶん買収防衛策導入企業とちゃんと対話をしたことのない投資家だと思います。私のお客様は買収防衛策を導入している会社や導入を真剣に検討している会社がたくさんいらっしゃいます。しかしどの会社も企業価値向上に真剣に取り組んでいます。長く買収防衛策を継続している会社は「買収防衛策を継続するために、投資家に理解してもらうために何が必要かを日々真剣に考えている。買収防衛策を導入したからこそ、こんなに真剣に考えているんだと思っている」とおっしゃっています。ちなみに、その会社の株価はここ10年、右肩上がりです。日経平均を大きく超えて推移しています。

私の経験上の話ですみませんが、本当に保身のために買収防衛策を導入している会社に会ったことがありません。当然、本音では保身目的の会社があるのかもしれませんが、皆さん、真剣に買収防衛策の必要性を議論しています。その議論の中に、経営者が地位にしがみつきたいがための発言など聞いたことがありません。保身をにおわせる発言は当然のこと、そのような雰囲気すら感じません。

買収防衛策を真剣に議論する皆さんが常におっしゃることは「いかに会社を守るか?」です。経営者の利益ではないのです。常に皆さん「会社」のことを考えているんです。皆さんのおっしゃる「会社」とはなんでしょうか?株主、従業員、取引先、地域社会、日本。それに加えて、従業員OB、経営陣OBのこともあるでしょう。そして、会社が培ってきた長い歴史、技術、研究開発、などなど。現在の会社を作り上げてきた目に見える資産と目に見えない資産のすべてを言ってるのではないでしょうか?

どうか投資家の皆さんには買収防衛策を誤解していただきたくないと思います。日本の善良な経営者は買収防衛策を濫用的に使ったりすることはありません。社外取締役は過半数いなくてもまったく問題ありません。悪意のかたまりの経営者は日本には(ほとんど)いません。

 

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