2020年01月01日

今年はどんな年になるでしょうか?

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年は日本企業にとって節目となる1年だったように思います。年明け早々に伊藤忠商事がデサントに対して敵対的TOBを仕掛けました。日本のエクセレントカンパニーによる敵対的TOBは、王子製紙による北越製紙に対するTOB以来のものです。

そして6月には、LIXILに対する株主提案が可決されました。大手事業会社に対する株主提案が可決されたのは日本では初のことではないでしょうか?

そしてユニゾHDに対してエイチ・アイ・エスが敵対的TOBを仕掛けました。ホワイトナイトとしてフォートレスが登場し、そしてブラックストーンが対抗提案を提示するも、最終的にはEBOという形となりました。まあ、まだブラックストーンがどういう手を出してくるのかわからない状況でもありますが。

コクヨもぺんてるに対して敵対的買収を仕掛けました。年末になり、もうさすがに何も起きないだろうというタイミングで、東芝が完全子会社化を目的にTOBをかけていたニューフレアテクノロジーに対してHOYAが敵対的TOB提案を公表しました。

昨年1年だけでこれだけ大きな出来事が起きました。細かいものも含めたらもっとあります。村上ファンドの動きも活発化しました。村上ファンド以外の世界中のアクティビスト・ファンドも続々と上陸しています。

10~15年前に日本はアクティビスト・ファンドの攻撃を受けました。リーマンショックがあり沈静化したものの、アクティビスト・ファンドの日本企業に対する攻撃は今後激化するでしょう。

このような時代を迎えるに当たって、経営者・CFOは何を考え、準備しておくべきでしょうか?買収防衛策はコーポレート・ガバナンス重視の流れに逆流することだから考える必要はないのでしょうか?買収防衛策は本当にいかなる買収提案の実現を阻害するための方策なのでしょうか?

買収防衛策に対する誤解をまずは解くべきだろうと私は思います。自社株式の20%以上を取得する場合は、買収提案の中身を検討するための時間と情報を提供してくれといっているのが日本企業が導入している買収防衛策です。実際には買収防衛策は買収防衛策ではありません。

今後、日本企業に対する敵対的TOBや株主提案は確実に増えます。そしてそれらは成功します。中には株主を含めた全ステークホルダーがハッピーになる提案もあるでしょうが、中には株主しかハッピーにならない提案もあります。それらの提案が本当に全ステークホルダーがハッピーになる提案なのかどうかを、経営者は見極めなければなりません。見極めるためには情報と時間の確保は必須です。それを可能とするのが買収防衛策です。

これからの時代、買収防衛策の導入はマストと私は考えます。また、買収防衛策だけではなく、企業防衛全体をしっかりと考えていかなくてはなりません。本当に持ち合いは悪なのか?全ステークホルダーの利益を考えた場合、必要悪ではないのか?

本当に欧米流の経営がよいのか?これも考える必要があるのではないでしょうか?株主と利益を同じくするべく多額の株式報酬をもらうのがよいのか?なお、欧米の経営者であったカルロス・ゴーンは逃亡しました。

日本らしさ、日本の経営者らしさというものを追求する必要があるのではないかと私は思います。今年は、日本らしさを追求できる1年になればよいなと思います。

 

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