2020年01月22日

村上ファンドが臨時株主総会の開催を要求しているようです

以下で日経ビジネスが報じています。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/012200075/?n_cid=nbpnb_mled_enew

また、日経電子版も報じています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54696900S0A120C2000000/?n_cid=NMAIL006_20200122_Y

旧村上ファンド系の投資会社オフィスサポート(東京・渋谷)が22日、東芝機械に臨時株主総会の開催を要求したことが分かった。オフィス社は投資家の村上世彰氏が大株主で、子会社を通じて21日から東芝機械株に敵対的TOB(株式公開買い付け)を実施している。東芝機械はTOBの対応策として復活させた買収防衛策の発動を、村上氏側は防衛策の差し止めの仮処分申し立てを示唆していた。株主総会で株主に防衛策の賛否を問う狙いとみられる。

22日午後に東芝機械に対し総会の開催を求める書簡を発送した。開催時期は「早急に」としており、「(3月4日までの)TOB期間に間に合わない場合はTOBを延長する用意がある」としている。

総会の開催は東芝機械側も求めている。ただし開催までの期間を60営業日ほどとしていたため、村上氏側は「長すぎる」として応じる姿勢を見せていなかった。村上氏は日本経済新聞の電話取材に「買収防衛策は百害あって一利なしだと思っているが、株主の意思を問うのは重要だ」と話した。

さすが、村上さん!相手の土俵に乗るとはさすがです!票読みしましたね???

東芝機械の株主構成だときっついですよ。さすがに。もう一度株主構成を見てみましょうか?

安定株主比率は、法人株主12.53%-㈱オフィスサポート5.93%=6.6%、静岡銀行2.47%の合計9.07%です。上位株主には登場しない安定株主もいるでしょうが、いっても15%もいないのではないでしょうか?これで勝てます?特別決議は絶対に取れない株主構成ですし、今回予定している普通決議も厳しいのでは?唯一のよりどころは、41.19%の個人その他です(自己株5,841,537株を除いたら41.19%じゃないですよね?総議決権で割ると27%くらいでは?)。白紙で投票してくれる個人株主にかかっていると言っても過言ではありません。沼津の方が多いのかもしれませんが、大丈夫でしょうか?

村上さんは白票の取扱いについても会社に指摘してきそうですねえ。検査役も選任するんでしょうね。

心配です。この株主構成で本当に行けますか?怖いです。

東芝機械は村上ファンドに買われてから、安定株主対策をしたのでしょうか?だとしたらまだ勝機はあるかもしれませんが・・・。私は東芝機械さんには大人の対応をしてもらいたいなあと思います。総会で仮に普通決議で対抗措置発動が可決されても、当然ですが、村上ファンドは発行差止請求をしてきますよ。裁判対応もあるんです。普通決議をとって発動したところで、「特別決議じゃないからダメ~!」と判断されることも十分にあり得ます。企業防衛のプロの弁護士は「やっぱり発動は特別決議を取らないと厳しいと思う」と言う方が多いと思いますよ。私はもちろん弁護士ではないのでわかりませんが。

いやー、しかし、ニューフレアテクノロジーでは東芝機械が面倒なことに巻き込まれ、東芝機械では今度は東芝さんが巻き込まれるんですね。東芝さん、買収防衛策発動に賛成できますか?

しかし村上さんはうまい作戦を考えますね。実は同じような作戦をフリージア・マクロスに買われた日邦産業が買収防衛策を再導入した際に考えました。ごめんなさい、有料です。

No.587 やはり買われてから買収防衛策を導入しても遅いのではないでしょうか?

似たようなコンセプトで、以下のような買収防衛策の破り方もあります。ごめんなさい、これも有料です。

No.354 ちょっとマニアックですが、買収防衛策の破り方をひらめきました

やっぱり村上ファンドは会社の攻め方をよく考えてますね。

どうですか?皆さん、これが村上ファンドです。この人たちは毎日毎日、会社の攻め方を考えているんです。この人たちは会社を攻めるプロなんです。大変失礼な言い方をしますが、企業防衛のことを常に考えていない皆さんは、村上ファンドから見れば赤子なのです。赤子の手をひねるようなもんなんです。だからこそ、ちゃんと企業防衛、企業価値向上について毎日毎日考えておかなくてはいけないのです。私の知っているエクセレントカンパニーは毎日毎日コラムやニュースを読んでくださっており、勉強されています。おそらく事業会社では日本で一番買収防衛策に知見があると思います。防衛、企業価値向上、これを毎日考えています。

最後に一つ。村上さんは「買収防衛策は百害あって一利なし」とおっしゃっていますが、私は「百利あって一害なし」と考えます。今の日本の会社は、保身で買収防衛策を使いませんし、使えません。また、当然ですが、株主利益のことも考えています。でも経営者は株主だけのことを考えている訳ではないですし、会社はそもそも株主の「モノ」ではありません。買収防衛策は会社の利益を確保し、向上させるためには必要な施策です。だって単に買収提案の詳細な情報と検討するための時間を提供してください、と言っているだけのルールですから。これに従いたくないという方は、単に生き馬の目を抜きたいと考えている方ではないでしょうか?株主が不当に安く保有株を搾取されないよう、情報と時間を確保するのは当たり前です。

 

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