2020年07月09日

うちが敵対的TOBを仕掛けられたらどうするか?

そうではないのです。「うちが敵対的TOBを仕掛けられたらどうするかをちゃんと考えておくように」と指示する経営陣がいますが、正しくはそうではありません。

正しくは「うちが敵対的TOBを仕掛けられないようにするためにはどうすればいいかをちゃんと考えておくように」なのです。

大戸屋はこのまま何も具体的な対抗策を打ち出さず、株主提案のときと同じように「セントラルキッチン反対!」とか「店内調理!」とかを主張するだけで対抗するのだとしたら、確実に負けます。ホワイトナイトに頼らざるを得ないでしょう。もちろん、コロワイドのTOBには下限が付されていますから、TOBに応募が集まらなければ不成立にはなります。ただ、TOB価格はけっこう魅力的だと思いますよ。

仮にホワイトナイトが現れたとしても、大戸屋の負けです。独立した上場会社としての経営は失われるのですから。支配する人がコロワイドから別の会社にかわっただけです。

なぜ大戸屋はコロワイドに敵対的TOBを仕掛けられたのでしょうか?簡単です。事前に敵対的TOB対策を準備していなかったからです。創業家ともめ、確実に創業家が誰かに株を売る状況だったにもかかわらず、企業防衛を怠り、買収防衛策を導入していませんでした。工夫すれば導入できたのに。

コロワイドに買われてからでも遅くはなかったのです。以下の方法があります。まあ、今からでもできなくはないです。

No.852 大戸屋はこうしておけばコロワイドに株主提案をされることもなかったのです

No.815 大戸屋が株主提案に勝ったら次はこう戦えばよし!

上場会社は上場している以上、いつでも敵対的TOBを仕掛けられるリスクがあります。敵対的TOBの怖さは株主提案の比ではありません。会社が乗っ取られるのですから。株主提案なんてなんにも怖くありませんよ。

このように会社が支配されてしまうリスクに対しては、会社の危機管理として常に考えておく必要があります。常に考えている会社だけが資本市場で生き残っていくことができるのです。

 

 

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