2020年07月10日

皆さんの会社が大戸屋にならないためにはどうすればよいか?

コロワイドに敵対的TOBを仕掛けられた大戸屋ですが、皆さんの会社が大戸屋のような状態になる可能性はあるでしょうか?当然、あります。上場している以上、敵対的TOBを仕掛けられるリスクはどの会社にだってあります。

例えば、皆さんご存知ないかもしれませんが、佐々木ベジさんに敵対的TOBを仕掛けられたソレキア。佐々木ベジさんという人をご存知ですか?ソレキアという会社をご存知ですか?当社HPをいつもご覧いただいているお客様はご存知ですが、知らない人が多いでしょう。

フリージア・マクロスという上場会社の会長をつとめる佐々木ベジさんは個人でソレキアという会社に敵対的TOBを仕掛けました。2017年2月の話です。ソレキアは富士通をホワイトナイトにして対抗しましたが、個人である佐々木ベジさんが富士通とガチンコで勝負し、打ち負かしました。佐々木ベジさんの敵対的TOBが成功しました。ソレキアという会社は当時、時価総額が20億円もない会社だったと思います。

誰も知らないでしょう。でも佐々木ベジさんはソレキアという会社を見つけ、敵対的TOBを仕掛けました。佐々木ベジさんはソレキアという会社を見つけ「非常に魅力的な会社だ!」と気づき、敵対的TOBを仕掛け、見事手中に収めました。

東芝機械はどうでしょうか?知っている方も多いでしょう。東芝機械は旧村上ファンドに今年1月に敵対的TOBを仕掛けられました。かつては東芝グループに属し、決して敵対的TOBなど仕掛けられることもなかったであろう東芝機械が仕掛けられました。旧村上ファンドに。

前田道路は?デサントは?ニューフレアテクノロジーは?

これらの会社に対して敵対的TOBが仕掛けられるなんて、誰も想像していなかったでしょうし、そもそもこれらの会社が想像していなかったでしょう。後程述べますが、想像していなかったから仕掛けられたとも言えます。

敵対的TOBについては、2003年頃から本格化しました。当初はスティールパートナーズといった投資ファンドが仕掛けることが多かったですが、後に王子製紙という名だたる上場会社も敵対的TOBを選択しました。2003年頃から本格化した敵対的TOBですが、リーマンショックを機に沈静化しました。アクティビスト・ファンドの動きが止まってしまったことが影響したのでしょう。

そして2017年に佐々木ベジさんが敵対的TOBを仕掛け成功させた後、2019年には日本を代表する総合商社である伊藤忠商事がデサントに対して敵対的TOBを仕掛けました。その後、数多くの敵対的TOBが発生しています。

https://ib-consulting.jp/newspaper/2555/

当たり前ですが、皆さんの会社に明日、敵対的TOBが仕掛けられるリスクがあります。上場している以上、当たり前です。皆さんは明日仕掛けられるかもしれない敵対的TOBに対して準備をしていますか?していないという会社がほとんどではないでしょうか?

ではなぜ敵対的TOBに対する準備をしないのでしょうか?頭では「明日ターゲットになるかもしれない」と理解はしていても、どこかで「ま、大丈夫じゃないの」と考えているからでしょう。そろそろマインドを切り替える必要があります。敵対的TOBを仕掛けられ、買収されてしまった会社は常日頃から敵対的TOBに対して勉強もせず、準備もしていなかった会社です。

敵対的TOBが仕掛けられるかもしれないと想像すらせず、放っておいた結果、買収されてしまいました。いざというときから準備、対策をしても遅いのです。敵対的TOBを仕掛けられる会社はほんの一握りの会社かもしれませんが、貴社がその一握りの会社にならないという保証などどこにもありません。

そして仕掛けられたら終わりです。上場会社としての独立性は失われます。

敵対的TOB対策というのは、会社の危機管理の一つであり、決して後ろ向きなことをする訳ではありません。買収防衛策の検討、株主還元の見直し、企業価値向上策の検討など考えることがいろいろとあります。常日頃から、そういった議論を深めておいた会社だけが独立した上場会社として生き残ることができると言っても過言ではありません。

 

 

 

 

 


 

 

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