2020年08月25日

今日がコロワイドの敵対的TOB最終日

本日8月25日がコロワイドの大戸屋に対する敵対的TOBの最終日です。明日には結果が公表されます。どうなるのかはわかりませんが、たぶん以下の方法を取らなかったのでコロワイドの敵対的TOBは成功した可能性が高いと思われます。

コロワイドの敵対的TOBは実に巧妙です

コロワイドによる大戸屋への敵対的TOB条件を解説

大戸屋はコロワイドの作戦にまんまとはまってしまいました。そもそもこの戦いは、ホワイトナイトなしで勝てるものではありません(もしかして大戸屋が勝ったらスミマセン)。この敵対的TOBはどういう性質のものなのか、どういう戦い方をしなくてはならないのか、を冷静に大戸屋が見極められなかったのだろうと思われます。

みなさんは「うちの会社に敵対的TOBなんてしかけられるわけがない」と考えていらっしゃるでしょうか?これまで敵対的TOBをしかけられた会社は全社そう考えていたと思われます。だからみんな買収されてしまったのです。普段から「敵対的TOBとは何か?」「平時から何を準備しておけばよいのか?」「仕掛けられないようにするには何をしておけばよいのか?」をちゃんと考える必要があります。

2003年頃から2007年頃にかけて、日本において第一次敵対的TOBブームが起きました。あのころしかけたのはほとんどがアクティビスト・ファンドでした。しかし今は事業会社がしかけています。それも伊藤忠商事という日本を代表する総合商社やエイチ・アイ・エスという著名な会社です。コクヨや前田建設も有名な会社です。コロワイドだってそうです。

著名な上場会社が経営戦略の一つとして敵対的TOBを選択するようになった時代なのです。2003年~2007年とはわけが違うのです。これから敵対的TOBは増えます。これは確実です。だって最近起きた敵対的TOBにおいて、買収者側が批判されましたか?「敵対的買収をするなんて、なんて品のない会社だ!」「乗っ取り屋か!」なんて批判されていないのです。

日経は社説で以下のように論じています。

[社説]企業は敵対的買収を過度に恐れるな 2020/2/11

[社説]敵対的TOBも企業価値向上の選択肢だ 2019/3/18

[社説]敵対的TOBは日本に根づくのか 2019/2/7

企業の戦略として敵対的買収を否定すべきではない。合意なしに買収できないとなれば業界再編やグループ再編がなかなか進まず、日本の産業競争力を損なう恐れがある。買収先と自らの競争力を高める再編と考えれば、敵対的であろうとTOBで株主に信を問うのは正しい戦略だ。

敵対的買収をしかけたからといって、誰も批判なんかしません。むしろ対象になった会社の方が「株価を割安に放置してきた結果だ」と批判されるでしょう。そういう時代になったのです。

日本の経営者の皆さんは2003年~2007年の第一次敵対的TOBブームのときよりも、よりいっそう高度な対応が求められます。有事になって高度な対応をするには、ちゃんと平時から準備しておく必要があります。そして、何よりも大切なことは「有事になったらどうするか?」ではなく、「有事にならないようにするにはどうするか?」を考えることです。有事になったら莫大なカネがかかります。そんなことにならないよう、ちゃんと平時から企業防衛、企業価値向上について考えておく必要があるのです。

 

 

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