2020年10月19日

株主vs.ステークホルダー、軍配はどちらに?

以下の記事が日経電子版に掲載されています。

株主vs.ステークホルダー、軍配はどちらに?

米主要企業の経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルが「Statement on the Purpose of a Corporation」(パーパス文書)でシェアホルダー(株主)利益の追求を至上とする考え方の見直しを表明し、1年余りが経過した。企業は株主ファーストの姿勢を貫くべきか、市民社会や労働者などのステークホルダー(利害関係者)にも十分な目配りをすべきか。対立軸は佳境を迎えた米大統領選の通奏低音にもなっている。結論はまだ出ていない。

これってそんなに難しい問題なのでしょうか?株式会社のそもそもの目的は株主のために利益を生み出すことです。それは当たり前です。ただし、株主のために利益を生み出すには、他のステークホルダーの協力が必要不可欠です。従業員の給料を削減して株主だけの利益を最大化しようとすれば、従業員は会社から離れていき、会社の中長期的な利益は損なわれます。取引先から搾取ばかりしていれば取引先も離れていきます。銀行だってそうです。地域社会もそうでしょう。

株主だけの利益ばかり注目し、他のステークホルダーの利益を考えなければ、会社の中長期的な利益は損なわれ、ひいては株主も損をします。記事でコリン・メイヤー教授は「シェアホルダーとステークホルダーは対立概念ではない」とおっしゃっています。

株主と従業員、取引先、地域社会、金融機関は対立するステークホルダーではありません。同じ方向を向いています。ただしときにはこれらのステークホルダーが各々の利益を主張するがあまり、衝突する局面もあります。そういった局面において各ステークホルダーの利益を調整し、バランスを取るのが経営者の役割ではないでしょうか?

この点、日本の経営は他国に比べて非常にバランスが取れていると言えますが、ただ株主の利益に対する誤解が日本の経営者にはあったと思われます。それさえただせば、日本の経営は決して他国に劣るものではないと思われます。

 

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