2021年06月15日

フリージアが日邦産業にプロキシーファイト

フリージア・マクロスが以下を公表しました。定時株主総会で予定している買収防衛策の継続議案に関して、否決に向けた委任状勧誘を開始したとのことです。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120210615449366.pdf

フリージア・マクロスが買収防衛策に反対する理由は以下の太字です。そして私の反論も記載しておきます。

●現在の資本市場において買収防衛策は時代錯誤の施策であること

時代錯誤?2017年に佐々木ベジ氏がソレキアに対して敵対的TOBを実施し、2019年には伊藤忠商事がデサントに対して敵対的TOBを実施しました。以降、敵対的TOBは増加傾向にあります。そして中には会社の本源的価値に比べて割安な価格で買収しようとするTOBも見られ、株主にとってはその買収提案に応じてよいのかどうかをきちんと精査するための時間と情報の確保が必要な時代になってきました。

なお、日本の会社が導入している買収防衛策は、まさに買収提案の内容を精査するための時間と情報を確保するためのルールであり、買収提案の実現を阻害するための経営者の保身を目的としたルールなどではありません。まっとうな株主であれば、買収提案に応じてよいかどうかを考えるための時間と情報が必要と判断するはずです。

しかも今回のフリージア・マクロスによる日邦産業への敵対的TOB条件は以下のとおりであり、まさに部分的買収です。フリージア・マクロスがTOBに成功したとしても、大多数の一般株主は残存するのであり、日邦産業の経営にフリージア・マクロスの意向が強く反映されるような状態になるのであれば、ますます買収防衛策によって時間と情報を確保する必要があります。

フリージアマクロスによる日邦産業への敵対的TOBの概要

日邦産業の株式を約28%手に入れて役員を送り込みたいと考えるフリージア・マクロスにとってジャマなルールというだけではないでしょうか?

なお、フリージア・マクロスが日邦産業への買収条件を魅力的な価格による全株買収とすれば話は違ってくると思います。現在の部分的買収といった条件では、会社も買収防衛策を使って確認する必要がありますよね。そりゃ当然です。

●買収防衛策導入は日邦産業の株価上昇を妨げるものであること

株価と買収防衛策については以下をご覧ください。

https://ib-consulting.jp/column/kind/45/

一般的によく「買収防衛策は株価の重しになる」と言われていますが、そのような事実はありません。というか検証しようがないのです。だって買収防衛策の導入や継続はだいたい決算発表などと同じタイミングで行われます。その後の株価が変動しても、それが買収防衛策による影響なのかどうかはわからないのです。

ちなみに現在の日邦産業の株価に関しては、買収防衛策がその上昇を抑えていることは間違いないでしょう。ただしフリージア・マクロスの買収提案が全株買収ではないことも大きく影響しているのではないでしょうか?部分的買収で役員を送り込もうとするから、当然、日邦産業も買収提案の内容を時間をかけて精査する必要があります。全株買収にしてしまえば、当然、検討にかけるための時間もさほど確保できなくなり、フリージア・マクロスの買収提案の実現性が高まり、株価も上がるのではないでしょうか?日邦産業の株価の上昇が妨げられているのだとしたら、それは買収防衛策だけが要因ではないと思います。

●買収防衛策のスキーム(新株予約権の発行など)は当社以外の全ての株主に対して所得税としての課税リスクが存在しております。しかるに対象者はこのリスクを一切開示せず、昨年度の定時株主総会において買収防衛策の議案を上程し、決議を諮ったこと

これってそうなんでしたっけ?以下によると課税上の問題はない旨国税庁が回答しているみたいですけど・・・。

https://www.bulldog.co.jp/company/pdf/070725_IR1.pdf

一般株主の皆 様から本要項第10項(1)に基づき本新株予約権を取得しその対価として当社株式を交付しても、一般株主の皆様に課税上の問題が生じない旨、及び、かかる取扱いは、非適格者(☆ご参照)から本要項第10項(2)に基づき本新株予約権を取得しその対価として金銭を交付する場合であっても影響を受けない旨の回答を得ました。

以上です。

 

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