2022年11月26日

ジャフコによる自己株TOBを詳細解説③

最後にわかりやすく解説する予定ですが、とりあえず昨日の詳細解説の続きです。詳細解説は今回で終わりにしようと思います。

ジャフコによる自己株TOBを詳細解説~野村さん、こんな価格の決め方でいいの?~

ジャフコによる自己株TOBを詳細解説②

TOB価格の決定に次いですが、P5あたりにこう書いています。

特定の一時点を基準とするよりも、一定期間の平均株価という平準化された値を採用する方が、一時的な株価変動の影響等特殊要因を排除でき、算定根拠として客観性及び合理性をより確保することができると考えたことから、価格決定期間を設け、価格決定期間における当社株式の東京証券取引所のプライム市場における売買高加重平均価格(VWAP)を基礎とすることといたしました。したがって、価格決定期間は、NRI株式売却を織り込んだ市場価格を検討の基礎とすることが望ましいと考え、NRI株式売却及び本公開買付けの市場価格への影響を織り込みつつ、一定の期間を設定することが算定根拠としての客観性及び合理性の確保の観点から望ましいと考えたこ とから、本日から3営業日後の日である2022年11月30日を始期として定め、その5営業日後の2022年12月7日を終期として定めております。

うん、他社株TOBならわかるけど、自己株TOBですよね?株主還元策、NRI株の売却、自己株TOB発表時点におけるTOB価格を公表し、それで株主が応募するかどうかを決めればよいのでは?どうして自己株TOBなのに、取得価格を上げにいくのさ?自社株買いって安い値段でやったほうが会社にとってはプラスですよね?残存株主にとって。それをなぜわざわざ株価を上げに行って、その価格で買い取るのさ?

すべては旧村上ファンドのため、ですよね?旧村上ファンドが11月25日あたりの株価をベースにしたTOB価格では売らないよ、もっと高い値段じゃないとダメ、と言ったからでしょ?で、わざわざジャフコはNRI株の売却、株主還元の変更、自己株TOBの実施を公表し「TOB価格は11月30日から12月7日の株価のVWAPでやります」「(25日の終値が2,314円なのに)TOB価格は2,500 円~2,800 円のレンジの枠内の価格となる予定です」って。

完全に旧村上ファンドを追い出すため、ですよね?そんなことのためにわざわざ株価を上げて、高い値段で自己株TOBをやっていいの?それが残存株主のためになるの?・・・と聞いたらジャフコは以下のように答えます。

・P6残存株主には100円の配当をします

・シティらの当社株式の所有割合を低下させることによる事業遂行、特にファンド募集の円滑化等による経営の安定化との調和の観点から妥当

下の方は以下で言ってますね。今回の自己株TOBの布石だったんですね。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/2192927/00.pdf

本日(10月27日)現在、SV7 シリーズの外部募集額は283億円(42社)、当社出資額を含めた シリーズ総額は500億円となっています。9月末のファーストクロージングにおける外部募集額につきましては、当初500億円近い金額を見込んでおりましたが、現状でもこれを大きく下回っています。村上世彰氏の影響下にある複数名義の株主が当社株式を買い進めているため、既存出資者を含む多くの投資家が、ファンド運用に影響を及ぼす可能性を懸念し、その動向を見極めるべく出資判断を保留していることが大きな要因となっています。

つまり旧村上ファンドがジャフコの大株主になっている状況では、ジャフコのファンド運用に悪影響が出るのではないかと心配した投資家が出資を渋っている、金が集まりにくなっている、旧村上ファンドがいるとジャフコの経営に悪影響が出て企業価値向上につながらないから、時価よりも上の価格で自己株TOBをやってでも旧村上ファンドに出て行ってもらう方がジャフコの企業価値向上につながる、という理屈ですね。

こういうことを理屈にして旧村上ファンドから高い価格で自社株買いをする会社、多いですね。しかし旧村上ファンドって、あからさまに悪者扱いされているわけですが、それでも高い値段で売却できるならいいんですね。これ、悪口やん?

なお、今回の自己株TOBですが、取得総額は420億円と決まっていますが、取得株数はまだ決まっていません。というのもまだTOB価格が決まっていないからです。取得株数は予定されている買付価格設定期間11月30日から12月7日で決まった価格で割った数になります。

またTOB期間は、2022 年 12 月 16 日から2023年1月19日までの20営業日を予定しています。公開買付代理人は野村證券です。野村證券は旧村上ファンドから自己株TOBをする際の代理人業務はやらないという認識を私は持っていたのですが、どうも違うようですね。上場会社に対して旧村上ファンド対応のアドバイスはするけど、旧村上ファンドのExit=現金化のお手伝いをすることはしない、と思っていたのですが。旧村上ファンドの現金化のお手伝いをしてしまうと、そのお金がまた別の上場会社への投資に回ってしまい、困る上場会社が出てくることを避けなくてはならない、というものです。

詳細解説と言いながら、ばらばらと思いつくことを解説してしまいすみません。では、次は私がプレスを読んだ感想を踏まえて、わかりやすく解説します。

 

 

 

 

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