2021年04月07日

東芝はなぜこんなことになってしまったでしょうか?

CVCが東芝に対して非公開を目的とした買収提案をしました。車谷CEOも買収提案の事実を認め、本日の取締役会で議論するとおっしゃっています。

もちろんここ数年のアクティビストによる攻撃に悩まされ疲弊している東芝にとっては、もしかしたら嬉しい提案かもしれませんが、買収されるとどうなるのでしょうか?「東芝」という名前は残るのでしょうか?RJRナビスコのように解体されてしまうことはないのでしょうか?

悩みは尽きません。日本を代表する名門企業東芝がなぜこのようなことになってしまったのでしょうか?東芝ってそもそもどんな会社なのでしょうか?以下、以前にまとめたコラムやニュースです。

No.72 東芝を救うのは誰か?&東芝とシャープとオリンパス

No.194 東芝半導体売却5 一蹴された「プランB」

以下は有料記事です。

No.110 あなたはどちら派?~東芝の役員選任をめぐる議決権行使助言会社の推奨~

No.990 東芝って2名の株主に臨時総会開催を請求されています

東芝の社長であった土光さんは上記のコラムNo.194で示した「私の履歴書」において非常に興味深いことをおっしゃっています。

なにしろ、東芝は、資本金も従業員数も石川島の3倍くらいはある。その大所帯が病気にかかっているわけだから、病根を探すにしてもたいへんだ。原因はどこにあるか、対策はどう見付けるか。種種調べてみた。その調査の結果、大きく安心することが一つあった。会社が擁している人材の優秀さである。これだけ有能な人間を抱えておれば、その活用さえはかれば、必ず再建できる、まず大丈夫とふんだ。

土光さんは東芝の病根はがどこにあるのか?を探したのです。本来現在の東芝も病根探しをまずはやるべきだったのではないでしょうか?もちろんやったのかもしれませんが、探し切れていなかったように思います。そして治療法の一つだと思っていたアクティビストへの第三者割当増資が単なる延命措置にしかなっておらず、病気から回復できなかったということです。アクティビストへの第三者割当増資は病気を治療することにつながらず、逆に悪化させてしまったということです。

何度も申し上げてきましたが、東芝は入院してじっくりと治療に専念すべきでした。つまりいったん上場廃止をして病気の根本原因を突き詰め、徹底的に治療してから再上場すべきだったと私は思います。

土光さんは「これだけ有能な人間を抱えておれば、その活用さえはかれば、必ず再建できる、まず大丈夫とふんだ」とおっしゃっていますが、投資ファンドに買収されたらどうなるのでしょうか?以下、ご参考です。

野蛮な来訪者―RJRナビスコの陥落

ロス・ジョンソンと言う経営者がMBOをしようとするもKKRに敵対的TOBを仕掛けられ、買収されてしまいます。そしてその後RJRナビスコは解体されます。東芝がこうなってしまうリスクはおおいにあります。

これはなにも東芝だけに限ったりすくではありません。もちろん東芝のように株主がアクティビストだらけになってしまう可能性は低いものの、例えば、旧村上ファンドやその他のアクティビストが大量に株式を取得するリスクがあります。こうなると東芝状態です。そのアクティビストの言うことを聞かざるを得ません。

どんな会社も東芝状態になるリスクがあります。現在持ち合い解消が進んでおり、日本企業の安定株主比率はどんどん低下しています。みんな東芝状態になるリスクをかかえているのです。

今やるべきことはなにか?日本企業はこれから大敵対的買収時代を迎えます。​

 

 

 

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