2018年05月10日

No.326 新明和工業 今期13円増配「旧村上ファンド無関係」(2018/4/28日経15面)

 旧村上ファンドに株式を取得されている新明和工業が増配を公表しました。4月28日に日経に出ていました。記事は以下のとおりです。

新明和、今期13円増配 「旧村上ファンド無関係」2018/4/28付

旧村上系ファンドが株式を買い増している新明和工業は27日、2019年3月期の年間配当を36円と前期と比べ13円増やすと発表した。同日発表した18年3月期の配当も9円増やし23円とした。五十川龍之社長は増配について「旧村上ファンドは関係ない。新たな中期経営計画の策定に向け、株主還元を重視する方針」と話した。

 旧村上ファンドによる新明和工業株式の取得状況ですが、大量保有報告書が提出されたのは4月11日で保有割合は5.46%でした。以降、変更報告書の提出状況ですが、4月13日(金)6.86%、4月17日(火)8.40%、4月23日(月)9.78%、4月26日(木)11.15%、5月2日(水)12.40%、5月8日(火)13.57%となっています。増配を公表したのは4月27日(金)で、株価は以下のとおりです。なお、増配公表後に買い増しているかどうかは、まだわかりません(5月8日の変更報告書の提出義務発生日は4月26日です)。

 旧村上ファンドの買いで株価が上がっていたのでしょうし、増配でまた大きく上げました。ただし、新明和工業のBPSは1,308.2円です。株価は1,200円を超えましたが、BPSを超えていません。まだ割安と言ってよいでしょう。旧村上ファンドはもう買い増しを諦めるでしょうか?

 わかりませんね。彼らの狙いが何なのかがわからないからです。ただ、まだ割安ですから、株価の面からは買ってくる可能性があると言えます。今回の新明和工業による増配ですが、会社は旧村上ファンド対策ではないと言っていますが、仮に旧村上ファンド対策の側面もあったとして、よい対抗策だとは思います。しかし、増配額が中途半端です。1株当たり23円配を36円配にしただけですよね?対抗策として打ち出したのであれば、少なすぎます。

 ちなみに、旧村上ファンドの新明和工業株式の平均取得価格ですが、取得資金の総額13,619,931千円、保有株数13,565,200株なので、1株当たり1,004円です。5月9日の終値は1,220円ですので、2割くらいもうかっていることになります。しかし、この程度の儲けで旧村上ファンドが満足するとは思えませんし、新明和工業の株価は旧村上ファンドの買いで上がってきた側面もあるでしょうから、旧村上ファンドが売りに転じたことがわかれば、株価が下がってしまうかもしれません。自分の売りで自分の首を絞めることになってしまいます。そもそも130億円も突っ込んでるんですから、そう簡単には諦めてくれないでしょう。

 「旧村上ファンド対策として増配をやったとは思われたくない」と考えて、中途半端な増配にしてしまったのでしょうか?だとするとダメですね。このような局面では誰に何と言われるかなんて気にしてはいけません。旧村上ファンドに買われないように何をするか?を真剣に考え、誰に何を言われようが徹底した対応をする必要があります。やるときは徹底的にやらないとダメということです。この局面だったら、株価を倍にするくらいの施策をやらないとダメでしょう。倍くらいにしたら、旧村上ファンドが市場で売却しても、十分もうけられるでしょ?だからちょっとした増配なんてこういう局面では無意味なんです。会社を守るためには、雑音など気にせず腹くくって対応する必要があります。

 

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