2018年07月13日

No.382 こういうことが日本でも増えてくるかもしれません~日清食品vsオアシスのケース~

香港の投資ファンドであるオアシスが、投資先の英食品大手プレミアフーズのCEOの再任に反対するそうです。オアシスは、プレミアフーズの筆頭株主で20%弱を保有する日清食品HDに対して、CEOの再任に反対もしくは棄権するよう求めたそうで、オアシスは日清食品HDの株主総会にも出席し「「プレミアフーズの株価が低迷し続けているのに、なぜ保有し続けるのですか」とオアシスのフィリップ・マイヤーCOOが質問に立ち、安藤宏基社長ら日清食品HDの経営陣に問いただした模様です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32771980Z00C18A7000000/

 日清食品HDはプレミアフーズのCEO再任に賛成するようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32874850R10C18A7XQH000/

 日清食品HDの株主構成を見ておきましょう。

 法人株主33.16%、みずほ銀行3.24%、三菱東京UFJ銀行2.18%の合計38.58%が安定株主比率です。オアシスがどれくらいの日清食品株を保有しているのかわかりませんが、プレミアフーズに関する何らかの提案を日清食品HDに呑ませようとしても、これくらいの高い安定株主比率があれば難しいでしょう。でもオアシスは気づいているでしょうか?日清食品HDに対して行ったことと同じことを、日清食品HDの大株主である三菱商事、伊藤忠商事、みずほフィナンシャル、三菱UFJフィナンシャルにもすればよいのです。それはオアシスも気づいているのではないでしょうか?最近、日本企業を積極的に狙っていますから、十分研究していることでしょう。

 今回のオアシスのプレミアフーズに対する戦い方は、今後他の日本企業に対しても実施されると考えます。安定株主比率が高いと言われている日本企業を攻め落とすには、安定株主を崩すしか方法がありません。逆に、オアシスのような戦法で攻められた場合を想定し、安定株主に貴社を支持してもらえるような理屈づくりも必要でしょう。

 ちなみに、この安定株主崩しの先方はすでに日本企業に対して実施されたことがあります。かつて電源開発をターゲットにしたTCIが実施しました。昔のことですから、皆さん忘れているかもしれません。

 有事に備えて、皆さんの安定株主の安定株主比率を把握しておくことも重要です。

 

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