2018年08月01日

村上ファンドの新たな投資先

出光興産と創業家の争いで少し注目された村上ファンドですが、それ以外ではあまり話題にあがっていません。というか、最近、変更報告書の提出状況を見ても少ないような気がします。ただ、7月初旬に新たな投資先の大量保有報告書が提出されました。セントラル硝子です。保有割合は5.04%で、オフィスサポートが0.10%、野村絢氏が4.94%保有しています。取得資金の総額は5,225,544千円で、株数は2,165,500株なので、1株当たり2,413円で取得していることになります。

最近6か月間のセントラル硝子の株価です。セントラル硝子の時価総額は1,153億円です。旧村上ファンドのターゲット企業の中ではそこそこ大きいほうじゃないでしょうか。

 セントラル硝子ってどういう会社なのでしょうか?四季報によると【特色】ガラス国内3位。サンゴバンと提携。化成品に利益依存。ソーダ灰はトクヤマとの合弁に移管」だそうです。「【低水準】特殊ガスやフルオロカーボンなど化成品事業は堅調。国内建築ガラスも順調。ただ、北米軸に自動車用ガラスが数量減、単価減の二重苦。ホタル石や重油など原燃料費高騰追い打ち。営業益底打ちでも戻り鈍い。為替差損減るが、税負担平準化。」「【要時間】再生急務の北米ガラス事業は現地責任者辞任加わり混乱続く。日本人役員の常駐化などで対応図るが収拾に要時間。」ともあります。

 また業界3位を狙っているのでしょうか?国内ガラスの業界1位と2位は?AGC(旭硝子)と日本板硝子でしょうか?日本板硝子はかつてピルキントンを買収した会社ですね。

 セントラル硝子の財務体質を見てみると、総資産317,877百万円、現預金22,673百万円、投資有価証券60,994百万円、有利子負債71,028百万円となっています。自己資本比率は54.2%あり、良好な財務体質です。ちなみに、旧村上ファンド以外にも英国のシルチェスターという割とアクティブな投資家が投資しており、直近で10.52%保有しています。今年の株主総会の役員選任議案を見ると、経営トップの賛成率が79.17%となっており、おそらくシルチェスターが反対しているのではないかと想定されます。

 上位大株主の図はほとんどが外人のため省略します。なお、上位にはみずほ銀行の退職給付信託4.98%のみ安定株主として登場しますので、上記の法人株主12.09%の合計17.07%が安定株主比率です。外人比率も高いのである程度の株式を集められそうな株主構成です。

 なお、セントラル硝子は買収防衛策を導入しています。2016年6月総会で更新していますので、次の更新は来年2019年6月総会の予定です。「鈴木君、買収防衛策を導入していれば村上ファンドは手出ししにくいって言ってなかったっけ?」 はい、言っていました。旧村上ファンドはこう考えたのではないでしょうか?「シルチェスターが10%持ってるよな?オレたちが来年までに10%まで買い増せばあわせて20%。外人比率も高い会社だし、次回の更新はあきらめて廃止するだろ」と。だから旧村上ファンドはこれから本格的に買ってくる可能性があります。そして来年、買収防衛策が廃止されたら、また買い増すでしょう。先まで読んで行動しているのだろうと思われます。現に中国塗料は、旧村上ファンドに買われた後、今年買収防衛策を更新せず廃止しました。

 買収防衛策を導入できる株主構成なのか、継続できる株主構成なのか、そろそろ廃止しそうな株主構成なのか・・・そこまで買収者は見ているということではないでしょうか。

 

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