2018年02月02日

No.261 総会議案の通しやすさと買われやすさ

 株主総会の議案を通しやすそうな株主構成とは?以下の株主構成の会社なんて、株主総会議案をラクに通せそうですよね?安定株主比率も高いし、個人株主比率も高いし。

 そろそろ佐々木ベジがソレキアに敵対的TOBを仕掛けてから1年が経ちますので取り上げました。決してネタが枯渇したからではありません。ソレキアの株主構成って、実は最高だったんですよ。安定株主比率は40%くらいありましたし、個人株主比率は70%もありました。買収防衛策を導入すれば、かなり高い賛成率で可決されたと思います。株主総会で質問なんてされたこともなかったのでしょう。それがあんなことになるとは・・・。

 金融機関による持ち合い解消が進む中、いまだに証券会社は「個人株主に持ってもらいましょう!個人株主は敵対的買収にも応じない安定株主ですよ!」とトチ狂ったセースルトークを展開しているのでしょうか?さすがに縄文時代のセールストークを展開する証券マンは絶滅したでしょうか?個人株主を増やすメリットとデメリットをしっかりと把握しておくことが重要です。

 ソレキアの株主構成であれば、どんな議案だって株主総会を通すことができます。でも、なぜ佐々木ベジに買われてしまったのでしょうか?答えは簡単です。個人株主は安定株主でも何でもないということです。皆さん、株式投資をしていますか?私は野村證券を退職してから始めました。基本的に野村時代はインサイダー部署にしかいませんでしたから、株式投資を実質的にできなかったので。まだまだ初心者ですから、下手な手出しはしないようにしています。今保有している銘柄は・・・内緒です。今保有している銘柄は、儲けようと思って保有している訳ではなく、株主総会に出たいからという理由で保有しています。6月の株主総会時期には皆さんに情報提供できると思います。

 個人株主って何のために株式を買っているのでしょうか?儲けたいからでしょう。だとしたら、敵対的かどうかは関係ありません。儲かるかどうかです。だから、各株主の特性を知っておくことは重要です。間違っても「個人株主は安定株主だ!」などと考えてはいけません。※もちろん、買収者の属性や会社の特徴によっては、個人株主が安定株主として機能したこともありましたが、滅多にないと考えてください。

 ソレキア以外にも、個人株主比率が高くて買われてしまった会社はありますよ。どこでしょうか?はい、阪神です。村上ファンドは阪神の株式を取得し、最後、阪急と経営統合させました。私、阪神の経営者にお会いしたことはありませんが、株主総会で困った経験などなかったのではないでしょうか?株主優待さえやっておけば満足する個人株主に囲まれた経営・・・。沿線株主に守られた株主総会・・・。まさか村上ファンドに買い占められるとは思っていなかったことでしょう。電鉄各社の株主構成を見ると、外国人株主比率が高い会社は「うらやましい」と思うことでしょう。しかし、電鉄各社のように個人株主比率が高い会社は、実は敵対的TOBや市場買い占めを仕掛ければ非常に買い集めやすい会社なのです。「うちの個人株主はOBが多いから大丈夫!」 敵対的TOBには応募しないかもしれませんが、市場で売ることのハードルは低いかもしれませんよ。「応募はしてないよ。上がったから市場で売っただけだよ」と。

 株主総会議案をラクに通せる会社というのは、実は、買い占めやすい会社ということかもしれません。自社の安定株主はどういう構成なのかを再確認する必要があるでしょう。

 

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