2017年06月08日

No.102 これは読めなかった~ソレキアの株価~など2コラム

■これは読めなかった~ソレキアの株価~

 ここ2か月のソレキアの株価推移です。6月に入ってからの株価の動きは読めませんでした・・・まさか7,000円を超えるとは。佐々木ベジ氏のTOB価格は5,450円でした。

 佐々木ベジ氏のTOBが終了したのは5月23日(火)です。佐々木ベジ氏のTOBに応募するためには5月18日(木)までに約定していないと受け渡しが間に合いません。ですので、5月19日(金)から株価は下がっていきました。

 しかし、6月に入ってからのソレキア株価は異常な動きを見せています。おそらく発端は佐々木ベジ氏が5月31日に提出した変更報告書でしょう。TOB終了によりソレキアを巡る騒動は一旦沈静化したと思われたものの、TOB終了直後の5月24日および25日に、佐々木ベジ氏はソレキア株式を市場で以下のとおり取得していました。

 これが思惑を呼んだのでしょう。「佐々木ベジはまだまだソレキア株式を買うつもりなんじゃないか?」と。ところで、ソレキアの浮動株はどれくらいあるのでしょうか?以下、以前も記載しましたが、富士通と佐々木ベジTOBへの応募状況です。

ソレキアの発行済株式総数

1,016,961株

自己株式

148,700株

単元未満株式

21,061株

完全議決権株式

847,200

富士通保有株式

23,558株

ソレキア経営陣・創業家

108,997株

富士通TOBへの応募株数

357,765株

ソレキアの安定株主

490,320

フリージアマクロス保有株式

58,600株

佐々木ベジTOBへの応募株数

285,499

佐々木ベジサイドの株主

344,099

 もともとのソレキアの安定株主に加えて、富士通TOBに応募した株主も安定株主と見なせば、上表のとおり490,320株は市場で高値を付けても売らない株主なのでしょう。それらと佐々木ベジサイドの株主344,099株は売らない株主です。総議決権847,200株から490,320株と344,099株をマイナスした12,781株が浮動株ということでしょうか。また、佐々木ベジ氏が5月24日と25日に市場取得した分が、それぞれ、12,700株と9,500株です。あれ?浮動株を超えていますね・・・ということは、ソレキアの安定株主と思われた方々、特に富士通TOBに応募した株主から売りが出ているということでしょうか?

 連日にわたってストップ高となっているソレキアからまだまだ目が離せません。特に今月末には株主総会を控えています。6月7時点でまだ招集通知を発送していないようです。まさか株主総会を利用して有事導入・発動の防衛策などを対抗措置として実施することを考えているのでしょうか?理論的にはあり得なくはないですが、佐々木ベジ氏に40%以上の議決権を確保されている以上、防衛策発動議案を総会にかけても普通決議すらとれるかわかりません。現在、有事導入・発動の防衛手段を取ったのはブルドックソースのみです。ブルドックソースは特別決議を取りました。ちょっと状況が異なりますので、おそらくあり得ないとは思いますが・・・佐々木ベジ氏は当然、株主総会に出席するでしょう。どういう発言をするのか興味深いところです。

 昨日6月7日の14:06時点でのソレキアの板情報を見ると、14:06に1,100株の取引が成立していますが、それ以降、売る人がいなくなってしまいました・・・流動性があまりになくなってしまい、上場廃止なんてことはあるのでしょうか?それがソレキアの作戦でしょうか?

■買収防衛策を継続した企業の皆様へ

 想定Q&Aを作成しましたので、どうぞご参考まで。継続中もしくは現在検討中の皆様、導入していない皆様もご参考まで。

Q. なぜ買収防衛策を廃止する企業が増えている状況において貴社は継続するのか?

A. そもそも当社が導入しているルールは買収防衛策ではなく、買収提案に関する詳細な情報提供を要請し、提供された情報を検討するための時間を確保することを目的としたルールです。決していかなる買収をも阻止するためのルールなどではないことをご理解ください。買収防衛策という表現につきましては、東京証券取引所の指導によりプレスリリースの表題に記載しているに過ぎませんし、当社も買収防衛策を導入しているという認識はございません。いわゆる買収防衛策を廃止している企業が増えていることは当社も把握しております。理由については各社様々かと思いますが、当社としましては、金融商品取引法が改正されましたが、詳細な情報や十分な時間を確保しない買付行為が実行される可能性があることから、引き続き大規模買付行為に関する対応策は株主の皆様の利益を考えて必要であると判断しております。

Q. 経営者の保身だろ?どうせ時間を稼いで買収を断念させるんだろ?

A. 株主の利益を考えて導入しているルールです。時間を稼ぐことなど目的にしておりません。

Q. 株主の立場からすると、買付価格が高ければそれ以上の情報や時間など必要ないと考えているが、どうか?

A. 提示された買付価格が本当に当社の企業価値を適正に反映した価格であるかどうかを検討するためにも、買付価格に関する詳細な情報や検討するための時間を確保することは必要であると判断しております。

Q. 買収防衛策を継続するなんて世の中の流れに反しているんじゃないか?

A. いわゆる買収防衛策を廃止している企業が増えていることは当社も認識しておりますが、当社としましては、金融商品取引法が改正されましたが、詳細な情報や十分な時間を確保しない買付行為が実行される可能性があることから、引き続き大規模買付行為に関する対応策は株主の皆様の利益を考えて必要であると判断しております。

Q. 貴社が導入したルールだと、情報提供の要請期間に制限が設定されていないため、いくらでも追加質問をできる設計であり、いくらでも時間稼ぎをすることができる。際限なく延長できないよう、制限を設けるべきではないか?

A. 当社が導入しているルールは株主のために詳細な情報と時間を確保することが目的ではありますが、一方で、買収者との交渉に当たってのツールであるとも認識しております。買収者との交渉ツールに時間的制限を加えることは、買収者を交渉優位に立たせるリスクがあることから、そのような制限を加えるべきではないと考えております。

Q. そもそも買収提案は株主に対する提案だ!その株主が時間と情報はいらない、TOBルール上の時間と情報だけで十分と言っているのだから廃止すべきだ!

A. TOBにおいて株主が重視するのは買付価格であるということは当社も十分認識しておりますが、その買付価格が当社の企業価値を適正に反映したものであるかどうかを検討するためにも、時間と情報の確保は必要であると考えております。

Q. 買収防衛策を発動する可能性はあるのか?

A. ルール上、発動することはあり得ます。

Q. 買収防衛策は交渉ツールであり、発動はあり得ない。

A. 交渉ツールとして機能させるためにも、ルール上、発動はあり得るとお答えせざるを得ません。

Q. 貴社のフェアバリューはいくらなのか?

A. 当社を取り巻く事業環境や株式市場の環境により変化すると思われますし、株価に与えるインパクトなども考慮しお答えを控えさせていただきます。

Q. TOBルール上の30営業日もあれば十分だ。どれくらいの時間が必要なのか?

A. TOBルール上、最低でも30営業日を確保できることは認識しておりますが、どのくらいの時間が必要かは、買収提案の内容・条件で変化しますので、明確にお答えすることはできません。

Q. どうせ十分な情報を得たとしても不十分だと言って時間をかせぐのだろう?

A. そのようなことはいたしません。

Q. そもそも具体的な事業上のシナジー効果など納得する回答を得られるはずがない。

A. 買収者が当社とのシナジーをどう考えているのかを具体的に質問することは必要であると考えますし、何より、買収者が考えるシナジー効果を買付価格にどう織り込んでいるのかを確認するためにも必要な質問であると考えますので、買収者には具体的な回答を求めます。

Q. 買収防衛策を導入するなら勧告的決議(普通決議)ではなく、定款変更して導入したらどうか?特別決議を取る自信がないのか?ないならやめたらどうだ?

A. 定款変更をして導入している企業があることは認識しておりますが、当社は法律専門家や外部アドバイザーなどと議論し、勧告的決議で導入する方針としております。特別決議をとる自信がないからということではございません。

Q. 買収防衛策を導入するのであれば、社外取締役をもっと増員すべきではないか?

A. 社外取締役の増員に関しては、当社のコーポレート・ガバナンス上の課題として長期的に検討してまいりたいと考えております。

Q. 貴社が想定している買収者は?

A. 経営上の重要事項ですのでお答えを控えさせていただきます。

Q. 最近、ソレキアに対して敵対的TOBが実施されたが、貴社はどう見たか?

A. 他社に関することであり当社の株主総会とは関係のないことすので、お答えを控えさせていただきます。

Q. 買収防衛策の継続に関して社外取締役または社外監査役の意見を個別に聞きたい。

A. 議長である私がお答えいたします。大規模買付行為に関する対応策の継続に関しては、平成●年●月●日の取締役会において、社外取締役●名を含む出席取締役全員の賛成をもって決定されました。なお、当該取締役会には、社外監査役●名を含む当社監査役●名全員が出席し、本プランは当社株式等の大規模買付行為に関する対応策として相当であると判断される旨の意見を表明しております。

 

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