2017年11月27日

No.216 オリンパス株2.9%を金融機関が売り出し

オリンパスは24日、同社株を保有する金融機関が株式の売り出しを実施すると発表した。売り出すのは三井住友銀行など5社で、株式数は自己株式を除く発行済み株式の2.9%。政策保有株の売却を進める一環とみられる。併せて7年ぶりとなる自社株買いも実施すると発表した。

 オリンパス株を売り出すのは、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ銀行、SMBCフレンド証券。売り出す株式数は994万800株で、9月末時点の自己株式を除く発行済み株式の2.9%にあたる。24日終値で計算すると452億円となる。12月4日から7日までのいずれかの日の終値に0.9~1を乗じた価格を仮条件とする。

 オリンパスは今回の売り出しについて、「金融機関側の意向」としている。三菱東京UFJ銀行を傘下にもつ三菱UFJフィナンシャル・グループなどはコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の一環で、政策保有株の見直しを進めている。

 金融機関による売り出しはオリンパスの大株主の順位にも影響しそうだ。2017年3月末時点で、三井住友銀行は発行済み株式総数に対して2.44%の株式を保有していた。売却後の保有比率は1.14%程度にまで低下するとみられる。一方、約5%を保有し提携関係にあるソニーの地位は変わらない。

 オリンパスは同日、10年以来7年ぶりとなる自社株買いも実施すると発表した。上限は70億円で、発行済み株式の0.44%にあたる。売り出しによる需給の悪化懸念を和らげる狙いとみられる。

 11月24日にオリンパスが売出しの実施を公表しました。売出人は三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ銀行、SMBCフレンド証券です。いわゆる、金融機関の持ち合い解消の一環でしょうか。売出しの目的は「コーポレートガバナンス・コードへの取組みが本格化する中、一部の株主様より当社株式を売却したい旨の意向を確認いたしました。当社としては、個人投資家層を中心に売出しを実施することにより、個人株主層を拡大し、多様性のある株主構成を目指すものであります。」だそうです。ちなみに、引受証券会社はSMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。いつも不思議に思うのですが、銀行がオリンパスに「貴社株式を売らせてください」とお願いしに来たのでしょうが、銀行が売るにもかかわらず、銀行系証券を引受証券会社にするんですね。銀行に株を売らせてあげ、かつ、系列証券を引受証券会社にして儲けさせてあげる・・・。お人よしですね。まあ、オリンパスの場合は、銀行に逆らえないのかもしれませんが。金融機関による持ち合い解消のお願いが来た場合、引受証券会社として系列証券を使ってあげるなどあり得ません。なぜ、株を売らせてあげて、なおかつ、系列証券を使って儲けさせてあげる必要があるのでしょうか?別に、独立系の元野村證券出身だから申し上げている訳ではありません。もしかしたら、何らかの交渉材料にしようとしているのかもしれませんが、私からするとまさに「盗人に追い銭」にしか見えません。

 金融機関からの持ち合い解消依頼がきた場合、どう対処すればよいでしょうか?自社株買いについては、私は反対です。まさに盗人に追い銭です。「貴社にご迷惑がかからないよう、市場で少しずつ売却します」 これもダメです。一見、売る側が殊勝な態度を取っているように見えますが、これを正確に訳すと「当行が最も儲かるよう、市場で高いところで売却していきます。売出し?そんな手数料の高い手法なんてゴメンです!」という意味です。

 私は、金融機関の持ち合い解消依頼に対しては、売出しを選択することがベストであろうと考えます。そして、国内個人株主に全株売り出すべきと考えます。増えない株主を増やすための玉として使うことがベストなのです。外人への売出し?外人なんて、ほっといても貴社株式を買う株主です。増えるときは、イヤだと言っても増えます。でも、個人は増やそうと努力しても増えません。個人投資家向け説明会を何百回やっても増えません。実弾を撃ち込まないことには増えないのです。個人株主を増やすメリットはただ一つ。株主総会での白票です。安定株主ではありませんが、株主総会で会社にとってメリットのある白票を投じてくれる「準安定株主」を増やすためです。

 オリンパスの株主構成を見てみましょう。安定株主比率は何%でしょうか?

 法人株主9.14%、日本生命3.88%、三菱東京UFJ銀行3.88%、三井住友銀行2.44%、合計19.34%です。オリンパスの時価総額を勘案すればこんなもんでしょう。個人株主比率は低いですねえ。全株国内個人に売り出せばよいと思うのですが、そうではないようです。プレスリリースを見ると「当社普通株式を取得し得る投資家のうち機関投資家に対する需要状況等の把握及び配分に関してはSMBC日興証券株式会社が行い、個人・事業会社等に対する需要状況等の把握及び配分に関してはSMBC日興証券株式会社及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社が共同で行う」とあります。まあ、個人中心に販売するのでしょうけど。

 金融機関による持ち合い解消は一旦沈静化したのかと思っていましたが、まだ動きがあるようですね。持ち合い解消への対応については、金融機関の思うとおりに運ばせないことが重要ではないかと考えます。

 

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